Devil's Night
 
 一度は失った愛しい体を抱きしめながら、ふと、守るべきもうひとりの存在を思い出した。


「ハルは?」


 思わず絵莉花の体を離し、その腕をつかんで問い詰めるように聞いていた。


「パパとお散歩だよ? 忘れたの?」


 私の記憶力を危ぶむように絵莉花が聞き返す。


「そうだっけ……」


 どこまでが夢でどこからが現実なのか、判然としなかった。
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