Devil's Night
 
 私はキッチンでコーヒーをいれながら、さりげなく引き出しの中を探っていた。

 
 ――あった……。


 普段は開けない引き出しの中の、手錠とハンドガンを見つめる。けれど、ふたつ一緒にはエプロンのポケットに入りそうにない。


 契約書によれば、カイは不死身だ。多分、銃やナイフは効かないだろう。迷った末、手錠だけをポケットにすべりこませ、急いでコーヒーをたてる。トレーの上でカップとソーサーがカチカチと鳴らないよう、落ち着いてリビングに運んだ。動揺を悟られないよう、気持ちを鎮めて、コーヒーカップを静かにテーブルの上に置く。


 子どもたちの様子を見た。陽人はカイの膝の上、絵莉花はカイの右側にぴったりと寄り添って座り、じっとしている。人形のように。カイが家に入って来るまでの絵莉花とは全く違って、生気がない。
< 344 / 359 >

この作品をシェア

pagetop