Devil's Night
 
 バッグの中のプレゼントボックスを開けたくなる衝動を押さえながら、絵莉花を待った。


「Excuse me」


 娘より先にトイレから出てきた黒人の女性に、声をかけられた。


 私が通路を出なければ、すれ違えないほどの巨漢が、子どもを抱っこして立っている。


 私は仕方なく通路を出て道を譲った。


 抱き抱えられている子どもは、色あせたパーカーを着せられ、ぐったりと眠りこんでいる。フードから長い金髪が見え隠れしていた。


 黒人の母親に金髪の子ども。


 私は軽い違和感を覚えながら、その親子を見送った。
< 50 / 359 >

この作品をシェア

pagetop