Devil's Night
「美月!」
夫に腕をつかまれる。
「離して。絵莉花を探さなきゃ……」
「美月。絵莉花はもうここにはいない」
「…………」
――わかっていた。
それでもじっとなんて、していられなかった。
「美月。家に帰ろう」
「家に?」
夫の言葉が信じられなかった。
「あの子がいないのに、どうして帰ろうなんて言えるの?」
初めて夫を非難した。
「美月、聞いて」
そう言った後で、彼は言葉を選ぶように、つらそうな目をして私の顔を見た。
「陽人にも何か食べさせて休ませてやらないと」
本当はこれ以上ここにいても、できることはもう何もないから帰るんだとわかっていた。