調香師の彼と眼鏡店の私 悩める仕事と近づくあなた
翌日、紗奈は朝からのシフトだった。
紗奈が出勤すると、すでに先輩店員が出社していた。急いで着替えて、仕事用の眼鏡をかける。
(今日のシフトは私と高橋さんと佐々木さんかあ)
「おはようございます、高橋さん」
「おはよー」
高橋、と呼ばれた男性店員はてきぱきと開店準備を進めている。
高橋は紗奈よりも年上の先輩だが、昨年この支店に転属してきたばかりだ。以前は大型スーパー内にある支店で働いていたらしい。
(高橋さんは他店舗経験を積んでいるってことよね。数年でもとの店舗へ戻って、店長からのエリアマネージャー補佐コースかしら)
間違いなく仕事の出来る人だ。
体育大学出身で、黒いスーツの上からでも引き締まった体格がよく分かる。細かいところにも気がつくし、暇さえあれば店長に様々な改善案を提案している。
(すごい人だけど、今日のメンバーだと中々……)
紗奈は気が重かった。
高橋は佐々木が絡むと厄介なのだ。
なぜなら――。
「さっき佐々木から電話あった。お子さん熱だって。病院行かせてから様子みて、出社出来そうならまた連絡するってさ。はぁ……たまには旦那に頼めよなー。今日は俺と亀井の二人体制だから、よろしく」
「分かりました。佐々木さん担当のご予約状況確認しておきます」
不機嫌を隠そうともしない言い方に、紗奈の心がずしりと重くなる。
PCで佐々木の担当リストを確認しながら小さくため息をついた。
(私がもう少し早めに出社して電話をとっていれば……。二人で何か言い争ったりしていないわよね?)
仕事一筋の高橋と時短勤務の佐々木は、度々小さな衝突をしているのだ。
どちらの言い分も分からなくはない。ただ、二人とも言葉が強いのだ。
『すみません、保育園から呼び出しがありましたのでお先に失礼します』
『佐々木、せめて引き継ぎくらいちゃんとしろよ。今日の残件何なの?』
『店長には伝えてあります! 急いでるのに引き止めないでくださいよ』
『はぁ? フォローするこっちへの礼儀ってもんがあるだろ!』
先週もそんな言い争いをしていた。
二人のシフトが重なると、何も問題がなくても雰囲気が重たい。紗奈はそれが苦手だった。
「高橋さん、今日は佐々木さんのお客様のご予約はありませんでしたから大丈夫そうです」
「オッケー。ま、それでも二人体制はキツいけどな」
「午後には店長も来ますから、それまで頑張りましょう!」
紗奈は出来るだけ明るい声で、拳を小さく上にあげた。
(店の雰囲気って絶対お客様に伝わるもの。ギスギスしちゃ駄目なんだから)
紗奈は気持ちを切り替えて、開店準備を再開した。
紗奈が出勤すると、すでに先輩店員が出社していた。急いで着替えて、仕事用の眼鏡をかける。
(今日のシフトは私と高橋さんと佐々木さんかあ)
「おはようございます、高橋さん」
「おはよー」
高橋、と呼ばれた男性店員はてきぱきと開店準備を進めている。
高橋は紗奈よりも年上の先輩だが、昨年この支店に転属してきたばかりだ。以前は大型スーパー内にある支店で働いていたらしい。
(高橋さんは他店舗経験を積んでいるってことよね。数年でもとの店舗へ戻って、店長からのエリアマネージャー補佐コースかしら)
間違いなく仕事の出来る人だ。
体育大学出身で、黒いスーツの上からでも引き締まった体格がよく分かる。細かいところにも気がつくし、暇さえあれば店長に様々な改善案を提案している。
(すごい人だけど、今日のメンバーだと中々……)
紗奈は気が重かった。
高橋は佐々木が絡むと厄介なのだ。
なぜなら――。
「さっき佐々木から電話あった。お子さん熱だって。病院行かせてから様子みて、出社出来そうならまた連絡するってさ。はぁ……たまには旦那に頼めよなー。今日は俺と亀井の二人体制だから、よろしく」
「分かりました。佐々木さん担当のご予約状況確認しておきます」
不機嫌を隠そうともしない言い方に、紗奈の心がずしりと重くなる。
PCで佐々木の担当リストを確認しながら小さくため息をついた。
(私がもう少し早めに出社して電話をとっていれば……。二人で何か言い争ったりしていないわよね?)
仕事一筋の高橋と時短勤務の佐々木は、度々小さな衝突をしているのだ。
どちらの言い分も分からなくはない。ただ、二人とも言葉が強いのだ。
『すみません、保育園から呼び出しがありましたのでお先に失礼します』
『佐々木、せめて引き継ぎくらいちゃんとしろよ。今日の残件何なの?』
『店長には伝えてあります! 急いでるのに引き止めないでくださいよ』
『はぁ? フォローするこっちへの礼儀ってもんがあるだろ!』
先週もそんな言い争いをしていた。
二人のシフトが重なると、何も問題がなくても雰囲気が重たい。紗奈はそれが苦手だった。
「高橋さん、今日は佐々木さんのお客様のご予約はありませんでしたから大丈夫そうです」
「オッケー。ま、それでも二人体制はキツいけどな」
「午後には店長も来ますから、それまで頑張りましょう!」
紗奈は出来るだけ明るい声で、拳を小さく上にあげた。
(店の雰囲気って絶対お客様に伝わるもの。ギスギスしちゃ駄目なんだから)
紗奈は気持ちを切り替えて、開店準備を再開した。