「好き」って言って
顔に出てしまっていたのか、心の内を当てら思わず吹き出してしまう。

きっと、私を慰めてくれたんだ。

黒瀬と話したことは今までなかったけど、優しい人なんだな。

黒瀬はなぜかさっきよりも驚いたように目を見開いていた。


「…なに?」

「え、あ、いやなんでも。てか俺ら、同じクラスなのに今初めて話したよな。これも何かの縁ということで、駅まで傘入れてくんね?」

「図々しい。…まあ、傘持ってきてくれたし、そのお礼ってことで。貸し借りは嫌いだから」

「おーさんきゅ」


にっと笑った黒瀬がポンポンと優しく頭を撫でてきて、不覚にもどきりとしてしまう。
< 36 / 36 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

君がくれた涙は、さよならのために
杏柚/著

総文字数/468

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
–––泣けなくなった私と、笑えなくなった君。 ◇ ◆ ◇ ある過去から泣けなくなってしまった少女 瀬川 凛々花(Segawa Ririka) × 寂しい孤独から笑えなくなってしまった少年 氷川 蓮(Hikawa Ren) ◇ ◆ ◇ 二人が出会ったのは、偶然で必然だった。 「…俺に構うんじゃねぇよ」 「ほっておけないよ」 二人の距離は少しずつ、欠けていた月が満ちていくように少しずつ近づいていた。 彼となら、お互いの傷に寄り添え合えると、そう思っていたのに…。 「俺はもうここにいられない」 私の世界から突然、君はいなくなってしまった。
この恋の終わらせ方を、私はまだ知らない。
杏柚/著

総文字数/2,608

恋愛(純愛)1ページ

スターツ出版小説投稿サイト合同企画「第2回1話だけ大賞」ベリーズカフェ会場エントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
「電車、止まっちゃいましたね」 それが、いつも同じ時間、同じ場所にいるだけの 名前も知らない私たちの初めての会話だった…。
悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!
杏柚/著

総文字数/23,531

恋愛(学園)48ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
転生したのはヒロイン…ではなくて、まさかの悪役の方。 物語にはヒロインを輝かせるために悪役はつきもの。 傲慢で、自分勝手で、みんなから嫌われていて、 そして、誰よりも孤独な悪女。 それが、私–––。 ◆ ◇ ◆ 物語の悪女 宝槻 乃愛(Houtsuki Noa) 「気安く私に話しかけないでくれる?」 誰よりも傲慢で、わがままで、人を傷つけることをなんとも思わない。 「…私のことも見てよ」 だけど本当は、誰よりも孤独で誰かのヒロインになりたかっただけの女の子。 そんな悪女に、私が転生しちゃった…? ◆ ◇ ◆ 「一生俺が守る」 「他の男なんて見てんなよ」 「誰よりもおまえを想ってる」 「僕だけにしてよ」 悪女の私がこんなに溺愛されてもいいんですか–––!?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop