憧れの専務は私の恋人⁉︎
12.私の好きな人
「詩織は私の妹です。智也さんのお見合い相手は詩織よ?」
「ほ、本当ですか!?詩織ぃぃっ!…………ぅっ。」
専務は勢いよくこちらへ向かって来ようとして、姉に軽くパンチを喰らわされた。
「大切な妹の結婚相手は慎重に選ばなくてはならないと思っています。こんな家ですから、いかがわしい目的で近づく人もいますからね。」
姉の言葉を聞いて、専務の顔は急に険しくなった。
「私は、そんな邪な気持ちで交際しているわけではありません。第一、彼女が麗華さんの妹だなんて知りませんでした。」
「それはわかっています。ですから、あなたには誠意を見せていただきたいのです。」
「誠意……ですか?」
「詩織と付き合うのでしたら、一生幸せにすると誓ってください。」
「!?」
姉の言葉は、付き合うなら結婚を前提にしろと言っているようなものだ。
「生半可な気持ちで交際されては困ります。あなたの会社で働く詩織は普通の会社員かもしれませんが、早川家の次女です。それがわかったからには、あなたには責任を取っていただかないと。」
「お姉様、何もそこまで……」
「これはあなたのためですよ、詩織。」
姉は振り返って微笑んだ。結婚前提で付き合っているわけではないけれど、そのつもりでいてくれたら嬉しい。専務を見ると、険しい顔で目を伏せていた。
(……専務?)
部屋に沈黙が落ちて、専務は静かに口を開いた。
「それは……申し上げられません……」
私は顔を俯けた。やっぱり専務にそんな気はなかった。専務の結婚相手は、もっと可愛くてスタイルが良くて頭が良くて学歴があって仕事ができるスーパーウーマン的な人じゃないと……そんなことを頭の中でぐるぐる巡らせていると、専務の後ろにいた社長が口を挟んだ。
「智也、なぜ言えないんだ?詩織さんと結婚するつもりなんだろ?」
「はい。」
あまりにも清々しい返事に、私と姉は同時に顔を上げた。
「なんなの!?何でそれを言わないのよ!」
姉は鬼の形相で専務を睨みつけている。
「ま、待ってください!ここで言ったら見合いになってしまうじゃないですか!」
「はあ?」
「何を言ってるんだ?」
「俺は見合いではなくて、恋愛で結婚したいんです!だからここでは言いたくないんですよ!」
私は思わず吹き出した。姉と社長は呆気に取られて固まっている。その隙に専務は私の手を引いた。
「というわけで、詩織にプロポーズしますので、早く見合いを終わらせてください。お姉さん!」
「あんたの姉になった覚えはないんだけど?」
姉はチラリと私へ視線を向けて少しだけ口角を上げた。
「まぁいいわ……婚約者としては認めます。でも、結婚するためには会長と総帥の承認が必要になります。あの2人は私よりも手強いわよ。覚悟した方がいいわ。」
「望むところです!」
そして、波乱のお見合いは幕を閉じた。
「ほ、本当ですか!?詩織ぃぃっ!…………ぅっ。」
専務は勢いよくこちらへ向かって来ようとして、姉に軽くパンチを喰らわされた。
「大切な妹の結婚相手は慎重に選ばなくてはならないと思っています。こんな家ですから、いかがわしい目的で近づく人もいますからね。」
姉の言葉を聞いて、専務の顔は急に険しくなった。
「私は、そんな邪な気持ちで交際しているわけではありません。第一、彼女が麗華さんの妹だなんて知りませんでした。」
「それはわかっています。ですから、あなたには誠意を見せていただきたいのです。」
「誠意……ですか?」
「詩織と付き合うのでしたら、一生幸せにすると誓ってください。」
「!?」
姉の言葉は、付き合うなら結婚を前提にしろと言っているようなものだ。
「生半可な気持ちで交際されては困ります。あなたの会社で働く詩織は普通の会社員かもしれませんが、早川家の次女です。それがわかったからには、あなたには責任を取っていただかないと。」
「お姉様、何もそこまで……」
「これはあなたのためですよ、詩織。」
姉は振り返って微笑んだ。結婚前提で付き合っているわけではないけれど、そのつもりでいてくれたら嬉しい。専務を見ると、険しい顔で目を伏せていた。
(……専務?)
部屋に沈黙が落ちて、専務は静かに口を開いた。
「それは……申し上げられません……」
私は顔を俯けた。やっぱり専務にそんな気はなかった。専務の結婚相手は、もっと可愛くてスタイルが良くて頭が良くて学歴があって仕事ができるスーパーウーマン的な人じゃないと……そんなことを頭の中でぐるぐる巡らせていると、専務の後ろにいた社長が口を挟んだ。
「智也、なぜ言えないんだ?詩織さんと結婚するつもりなんだろ?」
「はい。」
あまりにも清々しい返事に、私と姉は同時に顔を上げた。
「なんなの!?何でそれを言わないのよ!」
姉は鬼の形相で専務を睨みつけている。
「ま、待ってください!ここで言ったら見合いになってしまうじゃないですか!」
「はあ?」
「何を言ってるんだ?」
「俺は見合いではなくて、恋愛で結婚したいんです!だからここでは言いたくないんですよ!」
私は思わず吹き出した。姉と社長は呆気に取られて固まっている。その隙に専務は私の手を引いた。
「というわけで、詩織にプロポーズしますので、早く見合いを終わらせてください。お姉さん!」
「あんたの姉になった覚えはないんだけど?」
姉はチラリと私へ視線を向けて少しだけ口角を上げた。
「まぁいいわ……婚約者としては認めます。でも、結婚するためには会長と総帥の承認が必要になります。あの2人は私よりも手強いわよ。覚悟した方がいいわ。」
「望むところです!」
そして、波乱のお見合いは幕を閉じた。