憧れの専務は私の恋人⁉︎
当日は、姉の付き人であるサイトウさんが迎えに来てくれた。用意されていたのは、緑を基調とした華やかな振袖だった。
「やった!緑のお着物っ!」
「ふふふ。前に着てみたいって言ってたでしょ?」
「覚えててくれたの?」
家で着せられるのはいつも赤や朱色。可愛らしいけれど私が着ると子供っぽくなるから、姉が着ている青や緑の着物に憧れていた。
「これは新しいデザインなのよ。」
「お姉様がデザインされたのね!」
着付けとヘアメイクを終えて、私は鏡の前で何度も確認した。姉は私が普段地味な服装なことを知っている。だからあえて華やかな着物を選んでくれたのだろう。
(ここのお花が可愛いな。)
ふと、専務が見たらどう思うだろうかと考えて、顔が赤くなっている自分の姿が鏡に映った。
「詩織、見て〜!」
振り返ると、絢爛豪華な着物を着た姉が現れた。いつの時代の皇后かと思うほど煌びやかだ。
「すごいわ!こんなに華やかなお着物は初めて見ました。」
「好きな柄を全部入れてみたの。お見合いだからこれくらい派手でもいいかなと思って。」
「お姉様もいらっしゃるの?」
「私が先に話すわ。詩織はサイトウが呼びに来るまで待っていて。」
「お相手は、お姉様のお知り合い?」
「あ~、言ってなかったわね。相手は詩織んとこの専務よ。東雲智也。知ってるでしょ?」
「……えっ?」
思考が停止した。
「詩織の相手に相応しいのか、私が見極めてあげるわね。ふふふ。」
姉も兄も私にすごく甘い。私も家の一員としてやらなければいけないことがあるはずなのに、好きなようにさせてくれる。今日のお見合いは、きっと姉が私のためにセッティングしてくれたのだ。
「ありがとう、お姉様。」
「詩織には幸せになってもらいたいの。だから今日は最終面接よ。人間性も、仕事の力量もぜーんぶ見てあげますからね!」
姉の目がギラギラと輝いている。こういう時の姉には誰も敵わない。逆を言えば、姉に認められれば何よりも心強い。
「じゃあ、行ってくるわね。」
姉が控室を出ていくと、私は再び鏡の前に立った。
(専務とお見合いか……)
専務は今の私を見たらどう思うだろうか。少しは綺麗だと思ってくれるだろうか。そんなことを考えたら、鏡の中の私の頬がみるみる赤く染まっていく。途端に恥ずかしくなって、私はくるりと鏡に背を向けた。
「やった!緑のお着物っ!」
「ふふふ。前に着てみたいって言ってたでしょ?」
「覚えててくれたの?」
家で着せられるのはいつも赤や朱色。可愛らしいけれど私が着ると子供っぽくなるから、姉が着ている青や緑の着物に憧れていた。
「これは新しいデザインなのよ。」
「お姉様がデザインされたのね!」
着付けとヘアメイクを終えて、私は鏡の前で何度も確認した。姉は私が普段地味な服装なことを知っている。だからあえて華やかな着物を選んでくれたのだろう。
(ここのお花が可愛いな。)
ふと、専務が見たらどう思うだろうかと考えて、顔が赤くなっている自分の姿が鏡に映った。
「詩織、見て〜!」
振り返ると、絢爛豪華な着物を着た姉が現れた。いつの時代の皇后かと思うほど煌びやかだ。
「すごいわ!こんなに華やかなお着物は初めて見ました。」
「好きな柄を全部入れてみたの。お見合いだからこれくらい派手でもいいかなと思って。」
「お姉様もいらっしゃるの?」
「私が先に話すわ。詩織はサイトウが呼びに来るまで待っていて。」
「お相手は、お姉様のお知り合い?」
「あ~、言ってなかったわね。相手は詩織んとこの専務よ。東雲智也。知ってるでしょ?」
「……えっ?」
思考が停止した。
「詩織の相手に相応しいのか、私が見極めてあげるわね。ふふふ。」
姉も兄も私にすごく甘い。私も家の一員としてやらなければいけないことがあるはずなのに、好きなようにさせてくれる。今日のお見合いは、きっと姉が私のためにセッティングしてくれたのだ。
「ありがとう、お姉様。」
「詩織には幸せになってもらいたいの。だから今日は最終面接よ。人間性も、仕事の力量もぜーんぶ見てあげますからね!」
姉の目がギラギラと輝いている。こういう時の姉には誰も敵わない。逆を言えば、姉に認められれば何よりも心強い。
「じゃあ、行ってくるわね。」
姉が控室を出ていくと、私は再び鏡の前に立った。
(専務とお見合いか……)
専務は今の私を見たらどう思うだろうか。少しは綺麗だと思ってくれるだろうか。そんなことを考えたら、鏡の中の私の頬がみるみる赤く染まっていく。途端に恥ずかしくなって、私はくるりと鏡に背を向けた。