戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
第1章 戦火の果て
その日、私はすべてを失った。
甲高い悲鳴と共に、空が赤く染まっていく。
「きゃああ!」
耳をつんざく爆音、立ち上る黒煙――港町ローベルは炎に包まれていた。
「お父さん!お母さん!」
必死に家の方へ駆け出そうとした私の腕を、父が掴んだ。
「逃げるんだ!イレーネ!」
その声が終わるか終わらないかのうちに、轟音と共に建物が崩れ落ちる。
土埃の向こうで、父と母の姿が見えなくなった。
「いやああ!」
手を伸ばしても、そこには瓦礫しかない。
「イレーネ!逃げるんだ!」
兄が泣きそうな顔で私の腕を引く。
「だって、お父さんとお母さんが!」
「自分の命が先だ!」
乱れた息を整える暇もなく、私たちは町の裏路地へと駆け込んだ。
背後からは怒号と、剣がぶつかり合う金属音が迫ってくる。
焼けた木の匂いが肺を刺し、視界は赤と黒で塗り潰されていた。
甲高い悲鳴と共に、空が赤く染まっていく。
「きゃああ!」
耳をつんざく爆音、立ち上る黒煙――港町ローベルは炎に包まれていた。
「お父さん!お母さん!」
必死に家の方へ駆け出そうとした私の腕を、父が掴んだ。
「逃げるんだ!イレーネ!」
その声が終わるか終わらないかのうちに、轟音と共に建物が崩れ落ちる。
土埃の向こうで、父と母の姿が見えなくなった。
「いやああ!」
手を伸ばしても、そこには瓦礫しかない。
「イレーネ!逃げるんだ!」
兄が泣きそうな顔で私の腕を引く。
「だって、お父さんとお母さんが!」
「自分の命が先だ!」
乱れた息を整える暇もなく、私たちは町の裏路地へと駆け込んだ。
背後からは怒号と、剣がぶつかり合う金属音が迫ってくる。
焼けた木の匂いが肺を刺し、視界は赤と黒で塗り潰されていた。
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