戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて

第3章 皇太子の素顔

そして私は、正式にアレク殿下の専属侍女となった。

城の奥まった一角、侍女たちの控え室で迎えてくれたのは、長い栗色の髪を編み上げた女性――ラディア。

同じく殿下の身の回りを世話しているという彼女は、手際よく私に仕事を教えてくれた。

「御召し物は毎日替えること。その日の予定に合わせて選んでね。あと、部屋の掃除も欠かさないこと。」

細やかな説明が続く。

――なるほど、これが侍女の務めか。

思っていたよりも街の下宿でやっていた雑用と大差ない。

けれど、ここは皇太子殿下のお部屋。

一つ一つの仕事に、妙な緊張が走る。

「ところであなたは、何家出身なの?」

ふいにラディアが首を傾げた。

その声音は軽く、興味半分といった様子。

きっと、殿下に仕えるくらいなのだから、それなりの身分の娘だと思っているのだろう。

答えを口にしかけ、私は一瞬だけ言葉を飲み込んだ。

――本当のことを言えば、きっと驚かれる。
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