私の居場所は、先生の隣!
 「あ」
 授業中、机からケシゴムを落としてしまった。
 ケシゴムはかなり離れた所まで転がってしまった。
 「…………」
 
 拾いに行こうとしたけど、私の体は途中でピタ……と止まる。

 野崎さんの席の脇。

 私が授業中にいきなり立ち上がって、拾いに行ったら、野崎さんは多分、変なふうに思う。

 でも、授業が終わったあと、脇に私のケシゴムが落ちてたら、それを見た野崎さんは、どう思うだろう。

 どうするのが正解なの?

 誰か……教えて……。



 「…………?」

 皆川先生が私の机の上にケシゴムを置いた。

 これは私が落としたケシゴム。

 青、白、黒の3色ラインが入ったよくあるケシゴムだけど、私のは後ろが少しめくれてしまってるのですぐに分かる。

 「…………あ」

 声をかけようと口まで声が出かかったけど、先生はすぐに教卓に戻って行ってしまった。

 「…………」

 落としたから、ただ拾ってくれた。

 何てことのない話で、別に先生もついでだったんだろうけど……。

 私は泣いてた。

 口を押えて、声がもれないように……。

 「…………」

 教卓まで戻った皆川先生が、クラスの方に振り向いて、そこで私の顔を見た……見られた気がした。

 私は慌てて俯く。

 先生の顔が曇った気がしたけど……まさか、見られてないよね。

 これ以上、クラスで浮きたくない。

 感情なんてないって……そう思えばいいんだ。

 ただ、淡々と時間が過ぎていけば、いつか……。

 いつか……どうなるの?

 この先もずっと押し殺して生きていかなきゃならないなら……。

 私は‥‥何の為に生きてるんだろう……。

 「…………」

 無表情のまま、ハンカチで涙を拭った。

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