美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
【side 香坂優子】

!?八木君もいるじゃない!!

亮太郎の隣に八木君も並んで立っていた。
八木君の姿は柱の陰になって見えていなかったのだ。
うかつだった。
さっきまで酔っ払ったふりをして逃げてきたのだから、焦ってしまった。

私は真ん丸の目をして八木君を見つめていた。
八木君も見つめ返すから、目が合って・・・私はヘラっとした笑顔を作った。
今更ながら酔っ払い笑顔である。

「八木・・・ヤギくんもいたー。
イケメンさんが二人ですねえ。」
口調も酔っ払い仕様にチェンジ。

「え?優子、とうとう俺をイケメン認定してくれるの?!」
亮太郎の茶々にイラつきを覚え、訂正しておく。

「・・・えー・・・イケメンさんとぼとぼちイケメンさんがいるー」
「はははは、ぼちぼちイケメンって」
八木君が笑った。

「あ、大丈夫。八木君はイケメンのほうだから。」
「あははははっ。俺、大丈夫だった!」
「ひでえ・・・。俺、ぼちぼち・・・」
八木君は口元に手を当て笑いをこらえつつ、優子を優しい目で見つめた。

「香坂さん、少し酔ってたみたいですけど、もう大丈夫なんですか?」
「あ。う、うん。大丈夫」
「なら、よかった。飲ませすぎたかなって心配になりました」
八木の少し甘い微笑みに焦りつつ、
「えっと、大丈夫だけど、ちょっと外で風に当たってくるよ。先に戻ってて」
と、優子は下駄箱から自分のハイヒールを出して逃げ出した。

あんなイケメンの微笑み、心臓に悪い!



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