美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
【side 香坂優子】

お昼ご飯を一緒に食べ、オープンタイプのミーティングデスクでコーヒーを飲みながら二人で話をした。
明日のミーティング予定の内容についてずっと話していた。

「もともと以前いた部署で書いたAIに関するコラムが好評だったらしくて、他の人が引きついでコラムを書くことになったそうなんです」

八木君はAIの付き合い方と教育方法について企画をあげたいという。
大学共通テストで情報の科目が入ったことに共なって中学生や小学生もインターネットの使い方に対して関心が高まっているのはもちろんだったが、AIやチャットGTPなど学校教育で習う前に普段の生活から浸透してしまっている。

ご家族からのアンケートではどこまで許可していいのか分からないという声も上がっているという。

「TVのニュースで若者たちが「AIになんでも話す・相談する」「AI彼氏がいる」「親友がAI」とか言ってるんですよ。
そういうの聞いちゃうと、コラムで書いて済ますレベルの話じゃなくて、俺たちが提供する教育テキストとかを使って何かできないかと思ったんです」
八木君の説明を聞き、
「つまり、コラムとテキスト、両面からアプローチしたいってこと?」
「はい、その通りです」

タブレットで文科省のHPを開いて生成AIに関する取り組みを調べる。
「こうやってすぐに調べられるってとても便利な世の中ではあるのよね」
「そうなんです。
便利な分、使う側の人間のリスク管理が大事ですけど、みんなが簡単に使っているなら僕も簡単にできるんじゃないかって思ってしまって、弊害やリスクにまで目が行き届かない、そんな状態のような気がするんです。
あ、現状、メリット、デメリットについてはここにまとめてみました」
「うん」

資料は丁寧にわかりやすくまとめられていた。
「八木君ってほんとに優秀なんだね」
「香坂さんの教え方が上手いからですよ」
「いやいや。ほんとに…ものすごくわかりやすいよ」
「ありがとうございます。 香坂さんに褒められると嬉しいです」
「うん・・・ね。ここはさ」

始めは雑談だったのに次第に熱がこもってタブレットで資料を見ながら本格的な話し合いになっていた。


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