美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
「俺の場合ですけど、相手のことをもっと知りたいから、否定とかされたとしても自分の気持ちを話すし、相手の気持ちも知りたいと思うんですけどね」
「でも、自分の気持ちを言って嫌われたらって思うと恐くない?」
「そりゃ恐いですよ。
それでも一緒にいたいとか、仲良くなりたいって思う方が勝っちゃいます。
嫌われてもいいとは決して思いませんけど、言わなきゃ伝わらないこともあるし、変わらないこともあると思うんで」
真っ直ぐに私を見つめてくる八木君に心臓が音を立てた。

「だからこそ!」
突然、それまで黙っていた岩瀬さんが口を開いた。

「だからこそ、毎号テーマを決めて、八木君が受講者に向けてのカリキュラムを企画して、私が保護者向けのコラムを書いたらいいと思うのよ。
八木君は以前もコラム書いてたからどちらのやり方も分かるでしょ?
ね、やってみようよ」
岩瀬さんが腕を引っ張った。

「すごく面白そうだとは思います」
八木さんは微笑みながらそれとなく腕を解く。
「でしょ!?それなら」
「でも、どちらもわかるから、見切り発車のようなやり方はだめだと思います。
香坂さんはどう思いますか?」

岩瀬さんはズイッと詰め寄り、八木君は近付いた多分だけ私の方を向くようにして離れていく。
「そうね…。着眼点もいいと思う。
でも1回限りでなく、数回もしくはそれ以上長く掲載したい内容だから、二人でするのは無理があると思う。
期間をどの位に設定するかとか、どういったテーマにするか大まかな概要を立案して、チームを作る方向で、企画会議であげたらどうかな」
私は二人の様子を気にしながら答えていた。

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