美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱

従兄妹

【side　香坂優子】

頬に何かが触れていることに気が付いた。
優しく触れる感触に、そっと目を開けると、そこには悲しそうな顔をした八木君がいた。

「香坂さん」
と優しく呼びかけられ、頬を伝う涙をハンカチで拭ってくれていた。

思い出したまま眠ってしまったせいか、優と別れた時のことを思い出していた。
瞳からは涙がどくどくと溢れていた。

「八木君・・・」
ベットから体を起こすと、八木君に抱きしめられた。
私は八木君の胸に片方の顔を埋めるように抱きしめられた。

「大丈夫です。　大丈夫だから。
俺がいます。・・・だから泣かないで」
片方の手で頭を抱え、もう片方の手で背中を優しく摩ってくれている。

「夢を見て、こんなに泣いたりしないで。全部夢だから、大丈夫ですよ」
ずっと摩ってくれる手は暖かかくて、その声はとても優しくて、私はぼたぼたと涙が零れ落ちることを止められなかった。




「何してんだ！！」
急に大きな声がして、八木君を強く引っ張られた。


声の主は亮太郎だった。
亮太郎は急いで仕事を終らせて、医務室に私を迎えに来て、私が起きないようそっとドアを開けて入ってみると、そこには泣きじゃくる私を抱きしめている八木がいたのだ。



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