美人の香坂さん、酒は強いが恋愛は最弱
「何してんだじゃねえだろ!!」

八木君は亮太郎がつかんできた腕を振り払うと、逆にスーツの襟に掴みかかった。

「口田課長、あんた何ほったらかしてたんだよ!
彼女がほかの男に会ってこんなに動揺するってどういうことだよ!?」
「!?」

亮太郎が驚いて目を見張るのが分かった。
「どういうことだ?」
「こっちが聞いてんだよ!
優って誰? 課長も知ってるのかよ?!」
「優子、あいつに会ったのか?!」
亮太郎がベットの上で驚いて固まっている私を見た。

「何があったのか知らないけど、ずっと香坂さんと一緒にいたんだろ!?
恋人だったらこんな風に泣かせんなよ!!
心の傷とか、全部癒してやれよ!!
大事な女を傷ついたままにしとくなよっ!!
昔の男なんて忘れさせろよっ!!」

八木君は胸ぐらをつかんだまま、更に大声を上げた。

優子はベットから飛び起き、裸足のまま、二人の間に割って入った。
「八木君! 大丈夫だから! 
やめて!ね?」
「どこが!? 全然大丈夫じゃないだろ!」
初めて見る温厚な八木の激怒する顔に困惑しながら叫ぶ。

「亮太郎は恋人じゃないから!!!」



「・・・・・・・・・・・・・は?」
八木は血走った目で、ゆっくりと私を見た。


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