亡国の聖女は氷帝に溺愛される
「──イージスが滅んだのは、聖王様が儀式で竜を怒らせたからだ」
「その儀式とは?」
「その儀式は、イージスでは“来たる日”と呼ばれている。──あの日、聖王様は儀式をぶち壊したんだ。聖女のために」
ノエルは静かに語っていった。
イージス神聖王国では、十五年に一度、神殿で儀式が執り行われる。神殿は君主である聖王と聖女が住まう神聖な場所とされているが、その実態は得体の知れない神官たちが盲目的に“聖王と聖女”を閉じ込め、洗脳するようなことをしていた場所だったという。
「従来の“ふたり”なら、来たる日に起きる事を黙って受け入れるんだけど、今の聖女は──あんたがルーチェと名付けたあの子は、外の世界に十年も居たからか、染まらなかった」
「……神官とやらの都合の良いようにならなかったと?」
「そう、その通り。そんな聖女と同じ運命を背負っていた聖王様も、少し変わっていたらしくてね。僕からしたらそんなふうには思わないんだけど」
人里で十年の時を過ごし、己の持つ力と背負うものが解らなかったフィオナと、そんなフィオナの姿を見ていた聖王。
かえりたい、家族にあいたいという希いを、時が経つにつれて口に出さなくなったフィオナのために、聖王は事を起こそうと決めたのだ。
「その儀式とは?」
「その儀式は、イージスでは“来たる日”と呼ばれている。──あの日、聖王様は儀式をぶち壊したんだ。聖女のために」
ノエルは静かに語っていった。
イージス神聖王国では、十五年に一度、神殿で儀式が執り行われる。神殿は君主である聖王と聖女が住まう神聖な場所とされているが、その実態は得体の知れない神官たちが盲目的に“聖王と聖女”を閉じ込め、洗脳するようなことをしていた場所だったという。
「従来の“ふたり”なら、来たる日に起きる事を黙って受け入れるんだけど、今の聖女は──あんたがルーチェと名付けたあの子は、外の世界に十年も居たからか、染まらなかった」
「……神官とやらの都合の良いようにならなかったと?」
「そう、その通り。そんな聖女と同じ運命を背負っていた聖王様も、少し変わっていたらしくてね。僕からしたらそんなふうには思わないんだけど」
人里で十年の時を過ごし、己の持つ力と背負うものが解らなかったフィオナと、そんなフィオナの姿を見ていた聖王。
かえりたい、家族にあいたいという希いを、時が経つにつれて口に出さなくなったフィオナのために、聖王は事を起こそうと決めたのだ。