亡国の聖女は氷帝に溺愛される
◆
「───恐らく聖女は、あの竜の元へ向かったんだと思う」
月明かりを頼りに、真夜中の森を馬で突っ切る。まともな人間の考えることではないが、夜明けを待つことはできなかった。
馬の手綱を握るヴィルジールの手に、冷気が纏わりつく。
「竜の元へ行って何をする気だ」
「竜をどうこうというより、聖王様を救けに行ったんだと思う」
「聖王を? 聖王は竜といるのか?」
ノエルは自分を背に乗せているフェニックスの羽に触れ、それから頭を撫でた。
「僕が最期に視たものは、聖王様が竜に剣を突き立て、そして竜が巨大な炎を吐いているところだった。一夜で国は滅んだけど、聖女は生きていた。となると、聖王様は捕らわれているんだと思う。竜の中に」
「竜の中に?」
「呑み込まれたって言えばいいかな。竜は己の一部にしたつもりなんだろうけど、聖王様は何らかの方法で生き延びていたんだと思う」
ヴィルジールは切れ長の目を細めた。
ルーチェが生きているならば、聖王もどこかで生きているとは思っていた。ルーチェのように、何らかの原因で力を失い、行き倒れているのではないかとも。
だが、ノエルの推測には心当たりがある。
「───恐らく聖女は、あの竜の元へ向かったんだと思う」
月明かりを頼りに、真夜中の森を馬で突っ切る。まともな人間の考えることではないが、夜明けを待つことはできなかった。
馬の手綱を握るヴィルジールの手に、冷気が纏わりつく。
「竜の元へ行って何をする気だ」
「竜をどうこうというより、聖王様を救けに行ったんだと思う」
「聖王を? 聖王は竜といるのか?」
ノエルは自分を背に乗せているフェニックスの羽に触れ、それから頭を撫でた。
「僕が最期に視たものは、聖王様が竜に剣を突き立て、そして竜が巨大な炎を吐いているところだった。一夜で国は滅んだけど、聖女は生きていた。となると、聖王様は捕らわれているんだと思う。竜の中に」
「竜の中に?」
「呑み込まれたって言えばいいかな。竜は己の一部にしたつもりなんだろうけど、聖王様は何らかの方法で生き延びていたんだと思う」
ヴィルジールは切れ長の目を細めた。
ルーチェが生きているならば、聖王もどこかで生きているとは思っていた。ルーチェのように、何らかの原因で力を失い、行き倒れているのではないかとも。
だが、ノエルの推測には心当たりがある。