亡国の聖女は氷帝に溺愛される
◇
「お気づきになられましたか」
淡々とした声色で、緩々と意識が覚醒する。
突然網膜を襲う強烈な光から瞳を守ろうと片手を翳そうとした時、急激な激痛が身体を襲った。
「……ッ!」
「まだ動いてはなりません。今宮廷医を呼びますので、そのままお待ちください」
今まで体験した事もない激痛に、喉が詰まって息すら出来ない。
じんわりと涙の膜が張る両目を何とか凝らせば、黄金色の陽が燦々と近くの窓から漏れていた。
頭上には見たこともない模様の天井がある。背中に感じるのは、羽根のように柔らかな布団の感触。どうやら寝かされているようだ。
(……生きている…)
不意に浮かんだ言葉の意味は分からない。どうしてそう思ったのかも。何故自分だけが生きているのかと思っては、わけもわからず涙が溢れてきた。
どうして泣いているのだろう。どうして息をするのが苦しいのだろう。湧き上がってくる疑問に答えてくれる人は、誰一人としていないようだった。
「お気づきになられましたか」
淡々とした声色で、緩々と意識が覚醒する。
突然網膜を襲う強烈な光から瞳を守ろうと片手を翳そうとした時、急激な激痛が身体を襲った。
「……ッ!」
「まだ動いてはなりません。今宮廷医を呼びますので、そのままお待ちください」
今まで体験した事もない激痛に、喉が詰まって息すら出来ない。
じんわりと涙の膜が張る両目を何とか凝らせば、黄金色の陽が燦々と近くの窓から漏れていた。
頭上には見たこともない模様の天井がある。背中に感じるのは、羽根のように柔らかな布団の感触。どうやら寝かされているようだ。
(……生きている…)
不意に浮かんだ言葉の意味は分からない。どうしてそう思ったのかも。何故自分だけが生きているのかと思っては、わけもわからず涙が溢れてきた。
どうして泣いているのだろう。どうして息をするのが苦しいのだろう。湧き上がってくる疑問に答えてくれる人は、誰一人としていないようだった。