兄弟の溺愛に堕ちて
その横顔は、茶色がかった髪の柔らかさとは裏腹に、どこか寂しげだった。

その表情に、不意に胸がきゅっと締めつけられる。

そして、それは突然告げられた。

「えっ? 私が蓮さんの秘書も兼任ですか⁉」

思わず声が裏返る。

社長秘書だけでも精一杯なのに、今度は部長秘書まで? 

一度に二人を見るなんて、私にできるんだろうか。

「基本、蓮は何でも一人でやりたがるから。サポートだけしてくれればそれでいい。」

一真さんは落ち着いた声で言った。

「……はい。」

返事をした瞬間、不意に指先に温もりが触れる。

見下ろすと、一真さんの長い指が、私の指にそっと絡んでいた。

「大丈夫。俺がいるから。美咲には。」

――ドキン。

胸が跳ねる音が、周囲にまで響きそうだった。

呼び捨てにされたのは初めてで、鼓動が一気に早まる。

一真さんの目はまっすぐ私を見つめ、逃げ場を与えてくれない。
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