兄弟の溺愛に堕ちて
紙を揃える音、ホチキスの軽い打音――その背中から、仕事に邁進する熱が伝わってくる。

気づけば私も、自然とそのリズムに合わせて手を動かしていた。

「印刷だと一週間かかるでしょ。コピーなら二日でできる。」

蓮さんは何でもないように言いながら、手際よく紙をそろえては機械に差し込んでいく。

「狙った獲物を取るにはスピードが必要だからね。」

軽く肩をすくめて笑う姿に、私は思わずうんうんと頷いていた。

「恋愛だって一緒じゃん。」

不意打ちの言葉に、私の手がぴたりと止まる。

「ずっと片想いなんて、実らない恋愛しているより、目の前にある恋愛に手を伸ばした方がいい。」

紙を送る手を止めずにそう言った蓮さんは、ふっと視線だけこちらに寄越した。

冗談めかしているように聞こえるのに、その目は驚くほど真剣で、冗談の温度ではなかった。

――目の前にある恋愛。
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