兄弟の溺愛に堕ちて
翌日、出社すると一真さんが私を見て、ぽかんと目を丸くした。

「昨日、残業したって聞いたけれど、そんなに大変だったの?」

低く穏やかな声が耳に届く。その優しさに一瞬気が緩みそうになる。

「はい……大変でした。」

口ではそう答えたけれど、本当は仕事が大変だったわけじゃない。

頭の中を占めているのは、蓮さんの突然の「好きだ」の告白と、息もできないほどのキス。

あの夜の熱が、まだ体の奥に残っていて、眠れなかった。

「それはすまなかったね。あいつにも、ほどほどにしろって言っておくよ。」

申し訳なさそうな表情に、胸の奥がじんわりと温まる。

「……はい、お願いします。」

そう言うと、一真さんは小さく息を吐き、ふっと口角を上げた。

——クスクスと笑っている。

どうして笑うのだろう。

私には、この笑顔がただ欲しいだけなのに。
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