兄弟の溺愛に堕ちて
「……どうして、こんな……」

言葉が続かない私を見て、一真さんは少し照れたように笑った。

「美咲には、ちゃんと形に残るものを贈りたかったんだ。」

その一言が胸に刺さる。

——だめだ、泣きそう。

嬉しいはずなのに、蓮さんの「好きだ」という声が同時に脳裏で響く。

二人の想いに挟まれて、胸が苦しくなった。

「ありがとう、大切にします。」

なんとか微笑んで言葉を返すと、一真さんはホッとしたように息を吐いた。

その横顔が、どうしようもなく愛しく見えてしまった。

「どうしよう……」

胸の奥で何度もその言葉が響く。こんな贈り物をされれば、誤解してしまう。

でも、誤解でもいいから信じていたい。

いや、本当に嬉しいからこそ、心が揺れるのだ。

私はそっと箱から取り出したペンダントを首に掛けた。

冷たいはずの銀のチェーンが、なぜか胸元でじんわり温かく感じる。
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