兄弟の溺愛に堕ちて
「誕生日ってさ、誰かに祝ってもらうだけで一年報われた気になるじゃん?」

あっけらかんとした言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

一真さんに期待して落ち込んでいた気持ちが、少しだけ救われていくのを感じた。

「……」ほんの一瞬だけ迷った。

でも、孤独に押しつぶされそうだった自分が、その差し伸べられた言葉にすがってしまう。

「はい。」と答えた。

「じゃあ、また後で。」

蓮さんはいつものニコニコ顔で軽やかに去っていった。

その背中を見送りながら、私は胸のペンダントを無意識に握りしめた。

――こんな気持ち、持ってはいけないのに。

なのに、私今。蓮さんの何気ない言葉に救われている。

本当は一真さんだけを見ていたいのに。

社長室の扉の向こうで、誰よりも忙しく働くその背中を誇らしく思っているのに。

――それでも。

「誕生日を祝おうか」と笑ってくれた蓮さんの軽やかな声が、胸の奥に温かく残ってしまう。

私はペンダントを握りしめながら、自分の心が二つに裂けていくのを感じていた。
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