兄弟の溺愛に堕ちて
「え……これ、私に?」

「他に誰がいるの。」

軽い口調なのに、真剣な眼差し。

受け取った瞬間、花の香りよりも先に胸の奥が温かくなった。

「ありがとう、蓮さん。」

微笑むと、蓮さんは自然な仕草で私の背に手を添え――そのまま腰へと腕を回す。

「れ、蓮さん……」

近すぎる距離。

でも不思議と、嫌じゃなかった。むしろ、心臓が跳ねて息ができなくなる。

予約されていたのは、都会の夜景が一望できるレストランだった。

「え……こんな素敵なところ、初めて来ました。」

思わず感嘆すると、蓮さんはニッと笑う。

「誕生日だから、特別だよ。今日は美咲が主役なんだから。」

通された席は窓際。遠くまで瞬く光が、まるで祝福してくれているみたいだった。

シャンパンが注がれると、蓮さんはグラスを傾け、真っ直ぐに私を見つめる。

「誕生日おめでとう。……この一年も、美咲にたくさん笑っててほしい。」
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