兄弟の溺愛に堕ちて
それでも、諦められない。
この人を独占したいという想いは、募りに募って3年経った今も、消えるどころかますます深くなっている。
もう終わりにしたいのに、忘れられない。
この人は——久我一真さんは、私にとってあまりにも魅力的すぎるのだ。
数日後、新しい取締役部長として、久我蓮さんが就任した。
三十二歳、海外勤務からの帰国だと聞く。
就任初日、会議室前に現れた蓮さんは、片手にスーツケースを引き、もう片方の手で軽く兄——社長の一真さんに手を振った。
「おう、兄貴。」
その声は明るく、どこか人懐っこい響きを持っている。
少し茶色が混じった柔らかい髪が、ふわっと額にかかり、同じ久我姓でも一真さんとはまるで違う雰囲気を醸し出していた。
蓮さんは他の秘書や社員にも気さくに声をかけ、笑顔で握手を交わしている。
この人を独占したいという想いは、募りに募って3年経った今も、消えるどころかますます深くなっている。
もう終わりにしたいのに、忘れられない。
この人は——久我一真さんは、私にとってあまりにも魅力的すぎるのだ。
数日後、新しい取締役部長として、久我蓮さんが就任した。
三十二歳、海外勤務からの帰国だと聞く。
就任初日、会議室前に現れた蓮さんは、片手にスーツケースを引き、もう片方の手で軽く兄——社長の一真さんに手を振った。
「おう、兄貴。」
その声は明るく、どこか人懐っこい響きを持っている。
少し茶色が混じった柔らかい髪が、ふわっと額にかかり、同じ久我姓でも一真さんとはまるで違う雰囲気を醸し出していた。
蓮さんは他の秘書や社員にも気さくに声をかけ、笑顔で握手を交わしている。