兄弟の溺愛に堕ちて
「好きな女の誕生日だ。本気になるしかないだろ。」

――その一言で、全ての疑いも、逃げ場も消えていく。

蓮さんの想いに包み込まれるみたいに、私はただ、息をすることしかできなかった。

「でも……」

頭では抵抗の言葉を探すのに、心はもう追いつけなかった。

――私には、一真さんがいる。

そのはずなのに。

「美咲、こっち向いて。」

低く甘い声に、反射的に顔を上げてしまう。

「えっ……」

言い終える前に、唇を奪われた。

熱い。甘い。息もできないほど、何度も、何度も重ねられる。

理性なんて吹き飛んで、ただ彼の口づけを受け入れてしまう。

唇が離れた瞬間、蓮さんの指先が私の唇をなぞる。

「そういうエロい顔……俺だけに見せて。」

耳元に落ちた囁きに、心臓が爆発しそうだった。

――ダメ。ダメなのに。

けれど、体はもう抗えなかった。
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