兄弟の溺愛に堕ちて
自然と、視線が絡んだ。

何も言わないのに、心臓の鼓動だけが大きくなっていく。

「……美咲。」

彼が名を呼ぶだけで、全身が熱を帯びる。

視線を逸らしたくても逸らせない。

次の瞬間、蓮さんの指先が私の頬に触れた。

「怖かったら言えよ。ここでやめてもいい。」

真剣な眼差しに、胸がきゅっと締めつけられる。

――怖いはずなのに。

なのに私は、首を横に振っていた。

「蓮さんと一緒にいたい。」

かすかな声でそう答えると、彼の瞳が揺らぎ、すぐに熱を帯びる。

「……もう、止まれそうにない。」

囁きと同時に、唇が重なった。

エレベーターという密室は、時間まで甘美に絡め取っていく。

扉が開くまでの短い瞬間すら、永遠のように感じられた。

エレベーターが静かに停止し、扉が開いた。

蓮さんは迷いなく歩き出し、カードキーを差し込む。

「ガチャ」と乾いた音と共にドアが開き、私たちは一歩、中へ。
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