兄弟の溺愛に堕ちて
思った以上に広い部屋だった。けれど真ん中に置かれた大きなベッドが、いやでも目に入る。

一気に心臓が跳ね上がり、息が詰まりそうになる。

「ごめん。こういう部屋しか空いてなくて。」

蓮さんが少し困ったように笑った。

本当は、ソファやデスクのある落ち着いた部屋を選びたかったらしい。

「ううん。いいの。」

私は首を振った。声が少し震えてしまったのは、自分でも分かる。

ベッドの端に腰を下ろす。

シーツの柔らかさが、余計に現実味を帯びさせてきて、緊張が高まった。

蓮さんがジャケットを脱ぎ、ふと私を見た。

「美咲、ジャケット掛けたら?」

そう言って、クローゼットからハンガーを取り出して差し出してくれる。

その何気ない仕草に、不思議と心がほどける。

――まるで普通の恋人みたい。

私はそっとジャケットを脱ぎ、蓮さんの手からハンガーを受け取った。指先が触れ合っただけで、体温が一気に広がる。
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