兄弟の溺愛に堕ちて
背中を撫でる手が、優しくて、熱くて。

「……美咲。」

低く響いた声が、耳に溶けるように届いた。

「じゃあ、俺が全部忘れさせてやるよ。」

湯船から抱きかかえられた私は、そのまま洗面所へ。

蓮さんは大きなバスタオルを広げ、私を包み込むように体を拭ってくれた。

髪の水滴も丁寧に拭き取ってくれる。

その仕草があまりにも優しくて、胸が熱くなる。

「拭き足りないところはない?」

真剣な瞳に見つめられて、私は小さく首を振った。

「……ううん、大丈夫。」

蓮さんは自分の体もさっと拭くと、再び私を抱きかかえる。

軽々と持ち上げられ、次に目を開けた時には、ふかふかのベッドの上。

横にされ、シーツに沈んだ私の顔を、蓮さんが覗き込む。

「片想いの奴なんか、俺が忘れさせるから。」

低く囁かれたその言葉に、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
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