兄弟の溺愛に堕ちて
その想いが溢れて、涙が滲む。

蓮さんの熱と、胸に降り注ぐ愛情が、過去の痛みさえ溶かしていくようだった。

「美咲、奥にいくよ……」

蓮さんが深く入ってきて、胸の奥が震えた。

「ああっ……」声が溢れる。

「美咲……俺だけを感じて……」

囁きが熱く、耳を焦がす。

ベッドがきしみ、肌と肌が重なり合う。

「蓮さん……っ」

必死に彼にしがみつきながら、心の奥では別の痛みに揺れていた。

――どうしても忘れられなかった。

ずっと片想いしていた社長・一真。届かないと知りながら、手放せなかった想い。

けれど今、蓮さんに抱かれて、その執着が少しずつ薄れていく。

ギシギシとベッドが揺れる音。互いの体温が溶けあって、境界がなくなっていく。

「蓮さん……っ、もう……っ」

自分でも分かるくらい、必死になっていた。

「え……美咲、泣いてる?」
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