兄弟の溺愛に堕ちて
冗談めかした言葉と同時に、ボタンが外され、ジャケットもシャツも素早く脱がされていく。

スカートが足元へ滑り落ちた。

触れられるたびに、理性が削がれていく。

だけど心の奥で、一真さんの影がちらついた。

あの人を忘れるために、私は蓮さんを求めている――。

「……ごめん、蓮さん。私、まだ……」

声を絞り出すと、蓮さんの動きが一瞬止まった。

けれどその目は、かえって熱を増していた。

「いい。兄貴を忘れられないなら、それごと抱きしめる。」

強い唇が重ねられる。抗えなかった。

忘れたい。叶わない片想いを、全部。今夜だけでいい。

背徳の痛みに胸を締めつけられながら、私は蓮さんの熱に身を委ねていった。

「ああ……」

耳元に蓮さんの吐息がかかる。その熱に背筋が震えた。

「美咲の胸、柔らかくていい……」

熱い指が肌を掴み、私は声を漏らした。
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