兄弟の溺愛に堕ちて
「この温かさが今、この瞬間。私を包んでくれているのは蓮さんだ。」

「蓮さんっ、蓮さんっ……!」

快楽に押し流されるように声が漏れる。

「美咲、好きだ!」

激しい腰の動きが私の心を揺らす。

その瞬間、なぜか一真さんの顔が脳裏をかすめた。

「あっ……」目から涙が零れ落ちる。

「えっ?痛い?美咲。」

「ううん……嬉しくて……」

――大丈夫。私は蓮さんに愛されている。そう自分に言い聞かせる。

「ああ、美咲。俺も嬉しいよ。」

蓮さんの声が優しく胸を震わせる。けれど、頬を伝う涙は止まらなかった。

愛されているのに、なぜこんなにも心が空っぽに感じるのだろう。

蓮さんの温もりを抱きしめながらも、胸の奥で別の誰かを探してしまう自分が怖かった。

「ううっ、ああ……」蓮さんの欲情が私に流れ込む。

「美咲、ごめん。もう……」

私はぎゅっと蓮さんを抱きしめた。
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