兄弟の溺愛に堕ちて
「はぁっ!」

その瞬間、蓮さんの熱が私の中に広がった。

「あっ、蓮さん……」

熱い。燃えるように熱くて、体がうねった。

「美咲……」蓮さんがブルっと震える。

汗ばむ蓮さんが私の上に覆いかぶさり、ぐったりと肩に顔をうずめた。

「ああ、俺……すっげー幸せ。」

蓮さんの吐息が耳元をくすぐる。

その言葉に胸がじんわりと温かくなる――はずだった。

けれど、目尻を伝う涙を拭えない。

(幸せ……私もそう、思わなきゃいけないのに……)

腕の中のぬくもりを抱きしめながら、心の奥で別の名を呼びそうになる自分が、恐ろしかった。

蓮さんはそっと腕を伸ばし、微笑んでくれた。

「美咲、ありがとうな。」

その一言に胸がぎゅっと締め付けられた。

「なんで?」

「だって、美咲。俺の腕の中で気持ちよくなってくれた。」

半分はしゃいでいるような蓮さん。年上のはずなのに、今だけは年下みたいに可愛く見える。
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