兄弟の溺愛に堕ちて
そして、パーティーの日がやってきた。

私は、一真さんが見立ててくれた淡い水色のドレスを纏い、会場のシャンデリアの下へ足を踏み入れた。

「美咲。」
「はい。」

呼ばれて振り返った瞬間、隣に立つ一真さんの視線が、真っ直ぐに私を射抜いた。

「……綺麗だ。」

ドクンと胸の奥が跳ねる。

——ずっと待っていた。この人から、その言葉をもらえるのを。

頬に熱が差して、どうしても視線を外してしまう。

けれど一真さんは、そのまま私の手を自然に取り、歩き出した。

「これは、御曹司。」

「ああ、竹下さん。」

挨拶に駆け寄ってきた重役の顔を見て、一真さんは涼しい笑顔を浮かべる。

そこから、一気にあいさつ回りが始まった。

「私、社長たちの顔を知らないのですが……」

不安げに囁くと、一真さんは肩越しに振り返り、口元だけで笑った。

「任せておけ。こういう時の御曹司だ。」

——その言葉通り。

どの経営者も、一真さんを見ると自然に表情を崩し、話しかけてくる。
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