兄弟の溺愛に堕ちて
「うわっ、綺麗……」

夜風が頬を撫で、目の前にはきらめく街の灯り。

ここがオフィスの二階とは思えない。まるで外国のホテルにいるみたいで、心がふわっと浮き立った。

「美咲。」

名前を呼ばれ、振り返った瞬間——腰に温かい手が回された。

「えっ……」

思わず声が漏れる。

こ、腰……? そんな、近すぎる……!

触れられた部分からじんじん熱が広がって、心臓の音まで聞こえてしまいそう。

「あ、あの、社長……」

必死に声を絞り出すけれど、身体は動けない。

すると、一真さんがゆっくりと笑った。

「やっぱり、美咲を連れて来てよかった。」

低く甘い声。

胸の奥に落ちていくような響きに、息が止まった。

——どうして、こんなふうに見つめてくるの?

——私のことを……特別に、思ってくれているの?

夜風の涼しさより、一真さんの手の熱が圧倒的で。

私はただ、ドキドキしながら見上げるしかなかった。
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