赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
「なんだ!? コイツは。どこから現れた?」
「魔獣か!?」
私の前に立ち、黒衣の男達を威嚇するようにヴィーが吠える。
「何をしているのです! こんな魔獣一匹、さっさと」
先程まで私と対峙していた男の言葉は途切れ、鋭い爪が彼の手を切り裂きナイフを落とす。
その光景を見て銃を取り出した彼らはヴィーに向けて銃口を向け一斉に襲いかかかる。
だが、ヴィーは男達の攻撃を全て躱し、爪と牙で彼らを制圧した。
圧倒的強者を前になす術なく陣形は崩れ、牙で噛み砕かれた武器は使い物にならなくなる。
「この化け物めっ!!」
そう叫んだ男が取り出したのは、禍禍しい色をした液体の入った瓶。
瓶に貼られた札と紋様。それには見覚えがあった。
「……死の霧」
それは私が知る限りダントツに最低最悪な毒薬。
空気に触れた途端それは霧状に変化に、吸い込んだ人間の肺を腐らせ死に追いやる、決して存在してはいけないはずの過去の遺物。
「おや、コレが何か分かるだなんて、クローゼアの王女は博識ですねぇ。主ではありませんが益々気に入りました」
あなたのことは解毒してあげますからご安心ください、とにこやかに笑う男を見てそれが本物であると確信する。
「ダメっ! ダメよ!! こんな街中で、それは絶対に」
「もう遅い」
ニヤっと笑った男がそれを開けようとした瞬間、動きがぎこちなく止まる。
「な、ん……!?」
音もなくいつの間にか彼らの背後を取っていたヴィーの足元から長い影が伸びていて、男達の影を捉え彼らの動きを封じていた。
抵抗しようとした彼らの足元から闇が包み、そして跡形もなく全てを飲み込んだ。
「ヴィー!!」
怪我は!? と駆け寄った私にグルルっと喉を鳴らしたヴィーは私の無事を確かめるように紺碧の瞳でじっと見ると、手に頭を擦り付けて来た。
ふわふわで柔らかいヴィーの毛並みと暖かさにほっとして涙が出そうになった私は、思わずヴィーに抱きつく。
「バウ」
ヴィーは私を咎めたりはせず、パタパタと大きな尻尾を振って優しい声で短く鳴いた。
「そうだっ! シエラ!! それに、夜会も。どうしましょう」
「陛下。イザベラ妃が心配なのは分かりますけど、護衛を置いて勝手に行かないでください」
路地の向こうから現れたのは、以前紹介された護衛のギルだった。
「こっちは生身なんですから、あなたの速度についていけませんよ」
文句を言った彼の腕には気を失ったシエラが抱かれていた。
ヴィーを放し、私はギルに駆け寄る。
シエラは規則正しく呼吸をしており、パッと見た感じ大きな怪我は無さそうだ。
ほっと胸を撫で下ろした私に、
「残党含め、こっちは私が処理します。詳しい話は後にして、イザベラ様は陛下と先に宮廷にお戻り頂けますか?」
この人、夜会を抜けて来てるのであまり時間がないんですと呆れ顔のギルが告げる。
「戻るって言われても」
「大丈夫です。陛下にとってはこの距離なんて一瞬ですよ」
まぁ、振り落とされないように気をつけてとヴィーを指す。
「…………。」
乗れ、と?
皇帝陛下に?
は? 嘘でしょ!?
不敬にも程があると、助けを求めて視線を向ければ。
「バウ」
紺碧の瞳に肯定された。
いつも通り、私に選択権はないらしい。
「分かった。分かりました!」
ヤケクソのようにそう叫んだ私は、
「後で、何があったのか全部説明してくださいね」
契約寵妃の仕事を優先すべく白旗を上げた。
「魔獣か!?」
私の前に立ち、黒衣の男達を威嚇するようにヴィーが吠える。
「何をしているのです! こんな魔獣一匹、さっさと」
先程まで私と対峙していた男の言葉は途切れ、鋭い爪が彼の手を切り裂きナイフを落とす。
その光景を見て銃を取り出した彼らはヴィーに向けて銃口を向け一斉に襲いかかかる。
だが、ヴィーは男達の攻撃を全て躱し、爪と牙で彼らを制圧した。
圧倒的強者を前になす術なく陣形は崩れ、牙で噛み砕かれた武器は使い物にならなくなる。
「この化け物めっ!!」
そう叫んだ男が取り出したのは、禍禍しい色をした液体の入った瓶。
瓶に貼られた札と紋様。それには見覚えがあった。
「……死の霧」
それは私が知る限りダントツに最低最悪な毒薬。
空気に触れた途端それは霧状に変化に、吸い込んだ人間の肺を腐らせ死に追いやる、決して存在してはいけないはずの過去の遺物。
「おや、コレが何か分かるだなんて、クローゼアの王女は博識ですねぇ。主ではありませんが益々気に入りました」
あなたのことは解毒してあげますからご安心ください、とにこやかに笑う男を見てそれが本物であると確信する。
「ダメっ! ダメよ!! こんな街中で、それは絶対に」
「もう遅い」
ニヤっと笑った男がそれを開けようとした瞬間、動きがぎこちなく止まる。
「な、ん……!?」
音もなくいつの間にか彼らの背後を取っていたヴィーの足元から長い影が伸びていて、男達の影を捉え彼らの動きを封じていた。
抵抗しようとした彼らの足元から闇が包み、そして跡形もなく全てを飲み込んだ。
「ヴィー!!」
怪我は!? と駆け寄った私にグルルっと喉を鳴らしたヴィーは私の無事を確かめるように紺碧の瞳でじっと見ると、手に頭を擦り付けて来た。
ふわふわで柔らかいヴィーの毛並みと暖かさにほっとして涙が出そうになった私は、思わずヴィーに抱きつく。
「バウ」
ヴィーは私を咎めたりはせず、パタパタと大きな尻尾を振って優しい声で短く鳴いた。
「そうだっ! シエラ!! それに、夜会も。どうしましょう」
「陛下。イザベラ妃が心配なのは分かりますけど、護衛を置いて勝手に行かないでください」
路地の向こうから現れたのは、以前紹介された護衛のギルだった。
「こっちは生身なんですから、あなたの速度についていけませんよ」
文句を言った彼の腕には気を失ったシエラが抱かれていた。
ヴィーを放し、私はギルに駆け寄る。
シエラは規則正しく呼吸をしており、パッと見た感じ大きな怪我は無さそうだ。
ほっと胸を撫で下ろした私に、
「残党含め、こっちは私が処理します。詳しい話は後にして、イザベラ様は陛下と先に宮廷にお戻り頂けますか?」
この人、夜会を抜けて来てるのであまり時間がないんですと呆れ顔のギルが告げる。
「戻るって言われても」
「大丈夫です。陛下にとってはこの距離なんて一瞬ですよ」
まぁ、振り落とされないように気をつけてとヴィーを指す。
「…………。」
乗れ、と?
皇帝陛下に?
は? 嘘でしょ!?
不敬にも程があると、助けを求めて視線を向ければ。
「バウ」
紺碧の瞳に肯定された。
いつも通り、私に選択権はないらしい。
「分かった。分かりました!」
ヤケクソのようにそう叫んだ私は、
「後で、何があったのか全部説明してくださいね」
契約寵妃の仕事を優先すべく白旗を上げた。