赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
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「……っ」
身体を丸めるような体勢で小さく苦しげな呻き声をあげたあと、彼女の天色の瞳が薄っすら開いた。
「泣か、ない……で」
セルヴィスがイザベラと名を呼ぶより早く、彼女は掠れた声でそういうと小さな手を伸ばしてくる。
セルヴィスがそっと彼女の手を握ると、
「私、は……大丈…ぶ」
どこか焦点の定まらない天色の瞳が言葉を紡ぎ、
「私達の"暴君王女"は負けない、の」
そうでしょう? と優しく微笑むと、彼女は再び眠りに落ちた。
自分が苦しんでいる時でさえ誰かを思いやれる優しい彼女を好ましく思う一方で、セルヴィスは焼け付くような感情を覚える。
混濁した意識の中、彼女が安心させようと微笑んだのは自分ではない誰か。
そしてそれはおそらく、クローゼアに置いてきた彼女の大切な人。
「妬けるな」
感情を抑えてセルヴィスは蜂蜜色の髪をそっと撫でる。
「本当に商人の妻ならよかったのに」
セルヴィスは苦しげな声で、ぽつりとつぶやく。
『暴君王女、イザベラ・カルーテ・ロンドライン』
その名が彼女を第一王女の責務に縛りつける。
彼女はきっと今までもこうして生きてきたのだろうとセルヴィスは寝ている彼女に思いを馳せる。
強くあろうとする彼女が美しく眩しいと思う反面、敗北が許されないと気を張り続ける生き方が自分と重なり苦しくて。
リーリィとして訪れた植物園で楽しげにはしゃいでいた彼女みたいに、いつでも彼女が笑っていられたらと願ってしまう。
「いつか絶対、君が"暴君王女"を演じずに済む国にするから。その天色の瞳で見届けてくれないか?」
彼女の手を優しく握ったセルヴィスは、少しでも早く天色の瞳が開かれることを祈り、眠る彼女の側に居続けた。
「……っ」
身体を丸めるような体勢で小さく苦しげな呻き声をあげたあと、彼女の天色の瞳が薄っすら開いた。
「泣か、ない……で」
セルヴィスがイザベラと名を呼ぶより早く、彼女は掠れた声でそういうと小さな手を伸ばしてくる。
セルヴィスがそっと彼女の手を握ると、
「私、は……大丈…ぶ」
どこか焦点の定まらない天色の瞳が言葉を紡ぎ、
「私達の"暴君王女"は負けない、の」
そうでしょう? と優しく微笑むと、彼女は再び眠りに落ちた。
自分が苦しんでいる時でさえ誰かを思いやれる優しい彼女を好ましく思う一方で、セルヴィスは焼け付くような感情を覚える。
混濁した意識の中、彼女が安心させようと微笑んだのは自分ではない誰か。
そしてそれはおそらく、クローゼアに置いてきた彼女の大切な人。
「妬けるな」
感情を抑えてセルヴィスは蜂蜜色の髪をそっと撫でる。
「本当に商人の妻ならよかったのに」
セルヴィスは苦しげな声で、ぽつりとつぶやく。
『暴君王女、イザベラ・カルーテ・ロンドライン』
その名が彼女を第一王女の責務に縛りつける。
彼女はきっと今までもこうして生きてきたのだろうとセルヴィスは寝ている彼女に思いを馳せる。
強くあろうとする彼女が美しく眩しいと思う反面、敗北が許されないと気を張り続ける生き方が自分と重なり苦しくて。
リーリィとして訪れた植物園で楽しげにはしゃいでいた彼女みたいに、いつでも彼女が笑っていられたらと願ってしまう。
「いつか絶対、君が"暴君王女"を演じずに済む国にするから。その天色の瞳で見届けてくれないか?」
彼女の手を優しく握ったセルヴィスは、少しでも早く天色の瞳が開かれることを祈り、眠る彼女の側に居続けた。