赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
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ーー3年後。オゥルディ帝国にて。

「わぁ〜本当にすごいっ! なんて色鮮やかで素敵な庭園なんでしょう」

 見事だとセルヴィス様が称賛する庭園を初めて見た私は感嘆の声をあげる。

「リィルなら絶対気に入ると思っていた。やっと、約束が叶ったな」

 私のはしゃぎようにクスッと笑ったセルヴィス様は、そのまま私を引き寄せて抱きしめる。

「それに婚姻衣装を纏う君は想像以上に綺麗だ」

 ずっとコレが見たかったと満足気な声が耳に落ちてくる。
 クローゼアの売国を目論みこの国に渡った時は想像できなかった未来。
 春になったら大々的に式をあげようといったセルヴィス様の言葉通り、私は今日セルヴィス様と数年越しに結婚式を行う。
 
「綺麗だなんて。そ、それは衣装が素敵だからでっ、私よりもずっとセルヴィス様の方が」

「綺麗だ。それに、リィルがコレを着て俺の隣にいることに意味がある」

 やっと君を正妃として紹介できるのだからと、セルヴィス様は感慨深そうにそう言って私を見つめる。
 正妃にする、とセルヴィス様は言ってくれたけれど私が敗戦国の王女であったことや体調が優れなかったこともありすぐに正妃として隣に立つことはできなかったから。

「お待たせして、すみません」

「大したことはない。それに"待て"は得意なんだ」

 そう言ったセルヴィス様はぴょこんと狼の耳を出す。

「ちょっ、こんなところでダメですよ!!」

「触らないのか?」

「触……りたいけども! ダメなものはダメです」

 断腸の思いでモフモフの誘惑を断る私。

「それは残念だ」

 揶揄うようにそう言ってセルヴィス様はケモ耳をしまう。

「もう! あとで覚悟しててくださいね。めちゃくちゃモフリますからっ」

 不敬だと咎められないと知っている私の宣言に、

「これから先いくらでもそんなは時間取れるだろ。君は俺の妃なんだから」

 セルヴィス様は見惚れるくらい綺麗に笑った。

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