赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
それにしてもよく知りもしない男が隣にいるというのに、よくここまで無防備に眠れるものだと彼女の図太さに呆れ半分、感心半分で苦笑する。
すっかり眠気の引いたセルヴィスは静かに寝息を立てるイザベラをじっと観察する。
さらりとした柔らかそうな髪は今は魔道具の力で栗色に染まっているが、本来の彼女は蜂蜜色の髪に天色の瞳を有している。
着飾っているときの彼女は、家臣達が思わず見惚れるほど美しい。
敵国の姫だったと散々影で蔑み、幾度となく暗殺しようと企てていたくせに、どの口がと何度思ったことか。
「おかげで、こんな所まで連れてくる羽目になってしまった」
ため息混ざりに吐き出されるセルヴィスの悪態は彼女には届かない。
イザベラを寵妃として起用して数日。彼女は実に優秀な囮だった。
分かりやすい弱点は、今まで機会を伺っていただけの反勢力を誘き出すのに、非常に有効で。
セルヴィスが先に手を回さなければこの短期間でイザベラは5回は死んでいた。
それにイザベラが気づいているのか否か彼女の態度からは全く読み取れないけれど、仮に気づいていたとしても"契約の範囲内ですわ"とけろっと言いそうな気がする。
「クローゼアがまともな国だったなら、こんな化け物に嫁がなくて済んだのにな」
そうつぶやいて、そっとセルヴィスがイザベラの髪を撫でた時、彼女は小さく笑い急に身体を寄せてきた。
『私はあなたの妻ですよ?』
どうぞご自由にといったイザベラの言葉が耳に蘇る。
「なっ、俺は」
そんな気は、と慌てたところでそれ以上の反応はなく、抱きついてきたまま離れない。
寝ぼけているらしい、と悟ったセルヴィスは、
「どの口が寝相が悪かったら、なんて言ってやがるんだ」
すやすやと眠るイザベラを恨めしげに睨んだ。
すっかり眠気の引いたセルヴィスは静かに寝息を立てるイザベラをじっと観察する。
さらりとした柔らかそうな髪は今は魔道具の力で栗色に染まっているが、本来の彼女は蜂蜜色の髪に天色の瞳を有している。
着飾っているときの彼女は、家臣達が思わず見惚れるほど美しい。
敵国の姫だったと散々影で蔑み、幾度となく暗殺しようと企てていたくせに、どの口がと何度思ったことか。
「おかげで、こんな所まで連れてくる羽目になってしまった」
ため息混ざりに吐き出されるセルヴィスの悪態は彼女には届かない。
イザベラを寵妃として起用して数日。彼女は実に優秀な囮だった。
分かりやすい弱点は、今まで機会を伺っていただけの反勢力を誘き出すのに、非常に有効で。
セルヴィスが先に手を回さなければこの短期間でイザベラは5回は死んでいた。
それにイザベラが気づいているのか否か彼女の態度からは全く読み取れないけれど、仮に気づいていたとしても"契約の範囲内ですわ"とけろっと言いそうな気がする。
「クローゼアがまともな国だったなら、こんな化け物に嫁がなくて済んだのにな」
そうつぶやいて、そっとセルヴィスがイザベラの髪を撫でた時、彼女は小さく笑い急に身体を寄せてきた。
『私はあなたの妻ですよ?』
どうぞご自由にといったイザベラの言葉が耳に蘇る。
「なっ、俺は」
そんな気は、と慌てたところでそれ以上の反応はなく、抱きついてきたまま離れない。
寝ぼけているらしい、と悟ったセルヴィスは、
「どの口が寝相が悪かったら、なんて言ってやがるんだ」
すやすやと眠るイザベラを恨めしげに睨んだ。