赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
強引に剥がすこともできたのだが、あまりに気持ち良さげに寝ているのでそれはそれで気が引ける。
いっそのこと床で寝るほうがマシ、と思ったところで狼の姿なら簡単に抜け出せるのではとセルヴィスは思い至る。
狼に姿を変えベッドから抜け出したところで、
(そういえば、魔力のないノーマルな人間にとって長時間高濃度の魔力に晒されるのは身体に負担をかけるんだったな)
とセルヴィスは魔道具の注意事項を思い出す。
器用に口を使って細く白い彼女の腕から魔道具を外せば、あっという間に蜂蜜色の髪に戻った。
これで良し、と音もなくベッドから降りた所で、
「……っ」
と苦しげな呻き声が聞こえた。
彼女の方を見れば、小さな身体をさらに小さく丸め、痛みに耐えるかのように苦しげな呼吸を繰り返す。
セルヴィスはそんな彼女を紺碧の瞳で捉えながら、報告書の内容を思い出す。
確か、胸を押さえてもがき苦しむ者という記載があった。
『何らかの"中毒"症状である可能性が高いかと』
と報告書を読んだイザベラはそう分析した。
まさか、知らない間に彼女も毒を?
今日彼女が口にした物は、自分と同じだったはずだが、と思いながらセルヴィスは狼の姿になった事をやや後悔する。
が、一定の時間が経過しないと人の姿には戻れないので今更どうしようもない。
とにかくイザベラを起こそうと、セルヴィスは鼻先で彼女の身体を押した。
「ガゥ、バウバウ」
と吠えた所で薄らと天色の瞳が開いた。
「……っ、しぃー。静かに」
苦しげな表情で笑ったイザベラは、ゆっくり身体を起こすと、荒い呼吸を繰り返した。
「ここ、壁が薄いの。吠えちゃダメ」
イザベラはそっと狼に手を伸ばすとふふっと笑う。
「相変わらず、すっごくふわふわ」
何度か無遠慮に撫でると痛みに耐えるように胸に手をやり、辺りを見渡す。
「セルヴィス様……がいない」
少し寂しげな表情を浮かべたイザベラは、
「そっか。あなたは見張りってわけね」
信頼を得るって、難しいわねとつぶやいて首を振った。
イザベラの言動からどうやら使い魔を置いて出て行ったと彼女に思われたらしいとセルヴィスは察する。
「起こしてくれてありがとう」
彼女は静かに礼をのべ、
「くぅーん」
小さな声で心配そうに鳴く狼の紺碧の目を見ながら、
「大丈夫。すぐ、治るから」
とだけ言った。
身体を横たえたイザベラは痛みが引かないのかどことなく覇気がない。
「……セルヴィス様がいなくてよかった」
こんな姿、見せられないなとつぶやいた彼女は、
「ねぇ、私が欠陥品だってあなたのご主人様に報告しちゃう?」
できたら黙っていてくれないかしら、と頼み込んできた。
本人だと言えるわけのないセルヴィスは、どうしたものかと悩んだ末に彼女を寝かしつけるようにベッドに上がりその側で身体を横たえた。
「ふふ、心配してくれるの? ありがとう」
彼女はモフモフした毛並みを撫でた後、
「あったかい。モフモフ最高だわ」
無遠慮に顔を埋めた。
「なんだか、今日はよく眠れそう」
ぎゅっと抱きついてきたイザベラは、どうやら落ちついたらしくそのまま規則正しい寝息を立て始めた。
彼女の様子にほっとしつつ、今夜は長そうだと狼の姿のセルヴィスは小さくため息をついた。
いっそのこと床で寝るほうがマシ、と思ったところで狼の姿なら簡単に抜け出せるのではとセルヴィスは思い至る。
狼に姿を変えベッドから抜け出したところで、
(そういえば、魔力のないノーマルな人間にとって長時間高濃度の魔力に晒されるのは身体に負担をかけるんだったな)
とセルヴィスは魔道具の注意事項を思い出す。
器用に口を使って細く白い彼女の腕から魔道具を外せば、あっという間に蜂蜜色の髪に戻った。
これで良し、と音もなくベッドから降りた所で、
「……っ」
と苦しげな呻き声が聞こえた。
彼女の方を見れば、小さな身体をさらに小さく丸め、痛みに耐えるかのように苦しげな呼吸を繰り返す。
セルヴィスはそんな彼女を紺碧の瞳で捉えながら、報告書の内容を思い出す。
確か、胸を押さえてもがき苦しむ者という記載があった。
『何らかの"中毒"症状である可能性が高いかと』
と報告書を読んだイザベラはそう分析した。
まさか、知らない間に彼女も毒を?
今日彼女が口にした物は、自分と同じだったはずだが、と思いながらセルヴィスは狼の姿になった事をやや後悔する。
が、一定の時間が経過しないと人の姿には戻れないので今更どうしようもない。
とにかくイザベラを起こそうと、セルヴィスは鼻先で彼女の身体を押した。
「ガゥ、バウバウ」
と吠えた所で薄らと天色の瞳が開いた。
「……っ、しぃー。静かに」
苦しげな表情で笑ったイザベラは、ゆっくり身体を起こすと、荒い呼吸を繰り返した。
「ここ、壁が薄いの。吠えちゃダメ」
イザベラはそっと狼に手を伸ばすとふふっと笑う。
「相変わらず、すっごくふわふわ」
何度か無遠慮に撫でると痛みに耐えるように胸に手をやり、辺りを見渡す。
「セルヴィス様……がいない」
少し寂しげな表情を浮かべたイザベラは、
「そっか。あなたは見張りってわけね」
信頼を得るって、難しいわねとつぶやいて首を振った。
イザベラの言動からどうやら使い魔を置いて出て行ったと彼女に思われたらしいとセルヴィスは察する。
「起こしてくれてありがとう」
彼女は静かに礼をのべ、
「くぅーん」
小さな声で心配そうに鳴く狼の紺碧の目を見ながら、
「大丈夫。すぐ、治るから」
とだけ言った。
身体を横たえたイザベラは痛みが引かないのかどことなく覇気がない。
「……セルヴィス様がいなくてよかった」
こんな姿、見せられないなとつぶやいた彼女は、
「ねぇ、私が欠陥品だってあなたのご主人様に報告しちゃう?」
できたら黙っていてくれないかしら、と頼み込んできた。
本人だと言えるわけのないセルヴィスは、どうしたものかと悩んだ末に彼女を寝かしつけるようにベッドに上がりその側で身体を横たえた。
「ふふ、心配してくれるの? ありがとう」
彼女はモフモフした毛並みを撫でた後、
「あったかい。モフモフ最高だわ」
無遠慮に顔を埋めた。
「なんだか、今日はよく眠れそう」
ぎゅっと抱きついてきたイザベラは、どうやら落ちついたらしくそのまま規則正しい寝息を立て始めた。
彼女の様子にほっとしつつ、今夜は長そうだと狼の姿のセルヴィスは小さくため息をついた。