根暗な貴方は私の光
食器の後片付けをしていると、台所の傍を通って自室に向かおうとする蕗の姿が見えた。その後ろを静かに追いかける鏡子もまた紬の目に入った。
「蕗ちゃん」
「ひっ!」
様子を伺っていると案の定鏡子に捕まっている蕗が目を泳がせていた。助けようにも相手は鏡子であるから容易に手が出せない。
心の中で「ご愁傷さま」と思いつつ、二人の会話に耳を傾けた。
「何かお手伝いできることはないかと思ったんですけど、紬さんにはもう何もないと返されてしまって。鏡子さん、私に手伝えることはありませんか?」
「私は貴方に休んでいてほしいと思っているのだけれどね。そこまで言うなら、お使いを頼もうかしら」
「も、もちろん! 行かせてください!」
話を聞いていると何やらお使いに行くことになったらしい。ちらりと横目で鏡子に目線を送られた気がして、紬は苦笑を零しながら小さく頷いた。
紬からも了承を得た鏡子は店の奥へと消えていく。彼女の様子を紬と蕗は不思議に思って首を傾げながら見る。
少しすると、背負えるように紐が付いた籠と見覚えのある包を持って鏡子は店の奥から顔を出した。
紬は未だ台所にいたため、蕗に何を頼んだのか直接知ることはできなかった。
「行ってらっしゃい」
店を出ていく蕗を見送る鏡子の背中は随分と寂しげである。
見兼ねて台所から出た紬は彼女の傍に寄り、そっと肩に手を乗せた。着物を着込んでいても彼女の身体は薄い。
華やかな見た目に反してまともに食事を摂っていないのだろう。
「心配?」
彼女の顔を覗き込みながらそう問えば、振り返った鏡子はバツが悪そうに微笑んだ。
肩に置いていた紬の手を握るとそのまま無理矢理引き剥がす。
強引な手つきに紬は思わず笑いが溢れた。何故笑うのかと鏡子は怪訝な表情を浮かべるが、紬は未だ笑いを堪えている最中である。
鏡子は自分に都合の悪いことが起きると強引になる質だった。これまでに何度もその強引さと圧に負けてきた紬だからこそできる反応である。
「……少しね」
「あの子だってもう子供じゃあないんだから。そろそろ妹離れしたらどう?」
揶揄うように言うと鏡子は不貞腐れたように顔を背ける。その仕草がなんとも子供らしく見えて紬は再び笑みを落とした。
「蕗ちゃん」
「ひっ!」
様子を伺っていると案の定鏡子に捕まっている蕗が目を泳がせていた。助けようにも相手は鏡子であるから容易に手が出せない。
心の中で「ご愁傷さま」と思いつつ、二人の会話に耳を傾けた。
「何かお手伝いできることはないかと思ったんですけど、紬さんにはもう何もないと返されてしまって。鏡子さん、私に手伝えることはありませんか?」
「私は貴方に休んでいてほしいと思っているのだけれどね。そこまで言うなら、お使いを頼もうかしら」
「も、もちろん! 行かせてください!」
話を聞いていると何やらお使いに行くことになったらしい。ちらりと横目で鏡子に目線を送られた気がして、紬は苦笑を零しながら小さく頷いた。
紬からも了承を得た鏡子は店の奥へと消えていく。彼女の様子を紬と蕗は不思議に思って首を傾げながら見る。
少しすると、背負えるように紐が付いた籠と見覚えのある包を持って鏡子は店の奥から顔を出した。
紬は未だ台所にいたため、蕗に何を頼んだのか直接知ることはできなかった。
「行ってらっしゃい」
店を出ていく蕗を見送る鏡子の背中は随分と寂しげである。
見兼ねて台所から出た紬は彼女の傍に寄り、そっと肩に手を乗せた。着物を着込んでいても彼女の身体は薄い。
華やかな見た目に反してまともに食事を摂っていないのだろう。
「心配?」
彼女の顔を覗き込みながらそう問えば、振り返った鏡子はバツが悪そうに微笑んだ。
肩に置いていた紬の手を握るとそのまま無理矢理引き剥がす。
強引な手つきに紬は思わず笑いが溢れた。何故笑うのかと鏡子は怪訝な表情を浮かべるが、紬は未だ笑いを堪えている最中である。
鏡子は自分に都合の悪いことが起きると強引になる質だった。これまでに何度もその強引さと圧に負けてきた紬だからこそできる反応である。
「……少しね」
「あの子だってもう子供じゃあないんだから。そろそろ妹離れしたらどう?」
揶揄うように言うと鏡子は不貞腐れたように顔を背ける。その仕草がなんとも子供らしく見えて紬は再び笑みを落とした。