アバター★ミー 〜#スマホアプリで最高の私を手に入れる!〜
Scroll-14:夢ってなに……?
「そういえばさ……みんなって、将来の夢とかある? なりたい職業とか、やってみたい仕事とか?」
皆がテスト用紙をカバンに戻していく中、私は唐突に質問を投げかけた。
「じゃ、一番つまらない答えだと思う、俺から答えようか」
既に持ち物をまとめた翔くんが、テーブルの上にカバンを置いてそう言った。
「俺は決まって無い。だから今は勉強して、どんな所にでも行けるよう学歴だけは積んでおきたい。正直、俺は天才タイプじゃないから、こういった積み重ねでなんとかしなきゃって思ってる。——ハハハ、ほんとつまらない答えだろ? こんなんでよかった?」
「か……翔くんが天才タイプじゃなかったら、他の人たちの立場無くなっちゃうよ……」
「違うよ、志帆。確かに翔は、自分で言うほど非凡なことはない。でもね、翔って結構影で努力するタイプなのよ。今回もめっちゃ頑張ったと思う」
そうなんだ……確かに、応援旗の色塗りもホント妥協が無かった。彼も彼で、知れば知るほどイメージが変わっていく。
「やめろよ楓……そんな真面目に説明されると、俺恥ずかしいわ……」
翔くんの言葉に皆が吹き出した。
「でもさ、俺が天才タイプじゃないってのは、本音だよ。このクラスだけでも、楓や莉奈、そして応援旗描いてくれた白石も、完全に天才タイプだと思ってる」
こんな所で琴音の名前が出てくるなんて。翔くんは、本当に琴音のイラストを認めてるんだ。
「私はともかく、莉奈は確かに天才肌だよね。ファッションに対する感度は凄いと思う」
「じゃ、じゃあ、莉奈ちゃんはファッションとか、そっち系目指してる感じなの?」
「ま、まあ……そうね。だけど今は、私が目指したいのは何なのかが、具体的に分かってないの。ぴったりとハマる職業があるかもしれないし、もしかしたら、これから誕生する職業かもしれない。だから、まだまだ勉強中って感じかな」
そう言って、莉奈ちゃんは私に笑顔を向けた。
「私は仕事ってよりかは、色んな国を見てみたいかな。こんな大きい地球に生まれたってのに、ほんの一部しか知らずに死んでいくのって、勿体ない気がしてね。気に入った場所があれば、そこに住み着いてもいいし、合わなければまた引っ越せばいいかなって」
「楓はいいよね……英語もペラペラだから、どこへでも行けそうで」
「逆に英語が通じない国こそ、興味あったりするんだけどね」
楓はそう言って笑った。
あれ……?
そう言えば、一番のおしゃべりさんが、まだ何も言っていないんだけど……?
「あ、あの……玲央くんは、なんかあったりするの……?」
「俺なあ……この手の話になると、いつもこんな感じなんだよ。まだ夢とかなくて、こいつらの話聞いてスゲーなーで、いつも終わっちゃって。加藤なんか、プロ野球選手目指してるんだぜ? ——なれる、なれないじゃなくてさ、目指したいものがあるだけで羨ましいって思うんだよ、俺は」
玲央くんにしては珍しく、目を伏せたままそう言った。
「実は、私もそうなの。今朝、琴音と小池さんとの登校中にさ、彼女たちの将来の話が少し出て。琴音は美大や専門学校のこと考えてたり、小池さんはプロの漫画家目指してるって聞いて。——ほんと私、玲央くんと一緒。いいよね、目指してるものがある人って」
玲央くんは顔を上げて、笑顔で頷いてくれた。
「だから、俺みたいに夢がまだ見つかってないやつは、勉強頑張ってればいいんじゃないか? やりたい仕事を見つけた時に、学歴が必要だったら悔しいからさ」
そう言って翔くんは、肩にカバンをかけ席を立った。1人先に、階下への階段へと向かう。
「そういやさ。俺、翔に会うまでは全然勉強してなかったんだ。中1の中間テストなんて、合計点100ちょっとくらいしか、なかったくらいだし。——おーい、待てよ翔」
笑顔でそう言った玲央くんは、席を立って翔くんの後を追った。
「翔ってさ、今日の話でも分かるけど、玲央のこと褒めないでしょ? 本当は凄い認めてるくせにね、玲央のこと」
「ホント、楓の言う通り。そういうとこ素直じゃないんだよね、翔って。ホントは玲央のこと、大好きなくせにさ。——じゃ、私たちも行こっか」
私たち3人は席を立ち、彼らの後を追った。
顔を見合わせ、屈託のない笑顔を浮かべる彼らを。
皆がテスト用紙をカバンに戻していく中、私は唐突に質問を投げかけた。
「じゃ、一番つまらない答えだと思う、俺から答えようか」
既に持ち物をまとめた翔くんが、テーブルの上にカバンを置いてそう言った。
「俺は決まって無い。だから今は勉強して、どんな所にでも行けるよう学歴だけは積んでおきたい。正直、俺は天才タイプじゃないから、こういった積み重ねでなんとかしなきゃって思ってる。——ハハハ、ほんとつまらない答えだろ? こんなんでよかった?」
「か……翔くんが天才タイプじゃなかったら、他の人たちの立場無くなっちゃうよ……」
「違うよ、志帆。確かに翔は、自分で言うほど非凡なことはない。でもね、翔って結構影で努力するタイプなのよ。今回もめっちゃ頑張ったと思う」
そうなんだ……確かに、応援旗の色塗りもホント妥協が無かった。彼も彼で、知れば知るほどイメージが変わっていく。
「やめろよ楓……そんな真面目に説明されると、俺恥ずかしいわ……」
翔くんの言葉に皆が吹き出した。
「でもさ、俺が天才タイプじゃないってのは、本音だよ。このクラスだけでも、楓や莉奈、そして応援旗描いてくれた白石も、完全に天才タイプだと思ってる」
こんな所で琴音の名前が出てくるなんて。翔くんは、本当に琴音のイラストを認めてるんだ。
「私はともかく、莉奈は確かに天才肌だよね。ファッションに対する感度は凄いと思う」
「じゃ、じゃあ、莉奈ちゃんはファッションとか、そっち系目指してる感じなの?」
「ま、まあ……そうね。だけど今は、私が目指したいのは何なのかが、具体的に分かってないの。ぴったりとハマる職業があるかもしれないし、もしかしたら、これから誕生する職業かもしれない。だから、まだまだ勉強中って感じかな」
そう言って、莉奈ちゃんは私に笑顔を向けた。
「私は仕事ってよりかは、色んな国を見てみたいかな。こんな大きい地球に生まれたってのに、ほんの一部しか知らずに死んでいくのって、勿体ない気がしてね。気に入った場所があれば、そこに住み着いてもいいし、合わなければまた引っ越せばいいかなって」
「楓はいいよね……英語もペラペラだから、どこへでも行けそうで」
「逆に英語が通じない国こそ、興味あったりするんだけどね」
楓はそう言って笑った。
あれ……?
そう言えば、一番のおしゃべりさんが、まだ何も言っていないんだけど……?
「あ、あの……玲央くんは、なんかあったりするの……?」
「俺なあ……この手の話になると、いつもこんな感じなんだよ。まだ夢とかなくて、こいつらの話聞いてスゲーなーで、いつも終わっちゃって。加藤なんか、プロ野球選手目指してるんだぜ? ——なれる、なれないじゃなくてさ、目指したいものがあるだけで羨ましいって思うんだよ、俺は」
玲央くんにしては珍しく、目を伏せたままそう言った。
「実は、私もそうなの。今朝、琴音と小池さんとの登校中にさ、彼女たちの将来の話が少し出て。琴音は美大や専門学校のこと考えてたり、小池さんはプロの漫画家目指してるって聞いて。——ほんと私、玲央くんと一緒。いいよね、目指してるものがある人って」
玲央くんは顔を上げて、笑顔で頷いてくれた。
「だから、俺みたいに夢がまだ見つかってないやつは、勉強頑張ってればいいんじゃないか? やりたい仕事を見つけた時に、学歴が必要だったら悔しいからさ」
そう言って翔くんは、肩にカバンをかけ席を立った。1人先に、階下への階段へと向かう。
「そういやさ。俺、翔に会うまでは全然勉強してなかったんだ。中1の中間テストなんて、合計点100ちょっとくらいしか、なかったくらいだし。——おーい、待てよ翔」
笑顔でそう言った玲央くんは、席を立って翔くんの後を追った。
「翔ってさ、今日の話でも分かるけど、玲央のこと褒めないでしょ? 本当は凄い認めてるくせにね、玲央のこと」
「ホント、楓の言う通り。そういうとこ素直じゃないんだよね、翔って。ホントは玲央のこと、大好きなくせにさ。——じゃ、私たちも行こっか」
私たち3人は席を立ち、彼らの後を追った。
顔を見合わせ、屈託のない笑顔を浮かべる彼らを。