アバター★ミー 〜#スマホアプリで最高の私を手に入れる!〜
Scroll-17:接戦
結局私は、今は誰とも付き合う気はないと加藤くんに言った。
「なんて言って、本当は玲央のことが好きなんじゃないの?」
加藤くんはそう聞いてきたけど、今は憧れでしかないと私は答えた。
「ハハハ。その感じ、男だけど分かる」と言って笑った加藤くん。男子から見ても、玲央くんはやっぱり魅力的に映るようだ。
「よーし、ビーチバレー大会やるか!」
さっきの告白はどこへやら、元気いっぱいで加藤くんが言った。ここにいるのは、合計8人。まずは4人対4人になるよう、チーム分けから始まった。
「じゃ、リーダーは俺と湊な。こいつは中1だけど、バレー部だからそこそこ出来る。まあ、俺より上手いってことはないけど」
「はあ? 誰が野球部なんかに負けるかよ。負けた方は、ネットとボールの後片付けだからな。——じゃ、メンバーの取り合いからな! ジャンケン、ポン! おっしゃああ!!」
最初にジャンケンで買った湊くんは、背の高い玲央くんを選んだ。そして彼らのジャンケンは続き、メンバーが決まった。
◇加藤チーム
・翔
・楓
・凪
◇湊チーム
・玲央
・志帆
・莉奈
「湊くんっ! 絶対に勝つわよ、私たち! 最後のジャンケンで勝ったのに、小6の凪ちゃんを選んだ加藤は許せない!」
「はっ、はいっ! でも安心してください、俺がジャンケンで勝っていても、莉奈さんを選びましたから!!」
た……多分、加藤くんは凪ちゃんが最後に残ると可哀想だから、凪ちゃんを選んだんだと思うよ……まあ、大人げない莉奈ちゃんも嫌いじゃないけど。
いざ試合が始まると、思いがけない展開となった。
加藤くんチームは加藤くんと楓、私たちのチームは湊くんと私が、前後左右と動き回る大活躍をしたからだ。それ以外の4人は、ほぼお荷物状態と化していた。
「おっしゃああっ!!」
スパイクを決めて雄叫びを上げる湊くん。加藤くんと同じく、勝負事には一切の妥協が無いようだ。
「くっそぉぉぉ!! 頼むぞ、凪! ゆっくりでいい! サーブを入れてくれるだけでいいから!!」
そんな加藤くんの願いも虚しく、凪ちゃんのサーブはパサリとネットにひっかかった。試合終了だ。
「アハハ、瑛太兄ちゃんお疲れさまでした。んじゃ、ネットの後片付けよろしくな!」
湊くんはそう言って高らかに笑うと、ドリンクをグビグビと飲み干した。
***
ドーン!! ドドーン!!
花火大会が始まった。
プライベートビーチから、花火を見上げる私たち。
眼の前で大きく広がる花火とお腹にまで響く重低音は、テレビなんかで見る花火大会とはまるで違った。
なんでもネットで体験できちゃう今の時代。だけど、こんな風に実際に体験しないと、感じられないことって沢山あるんだ——
斜め前では莉奈ちゃんが声を上げて笑っている。隣には湊くんと凪ちゃんがいる。きっと2人とも、このカワイイお姉さんに夢中なんだろう。
「もしかしてさ……今日、加藤に告られたりした?」
「えっ!?」
いつの間にか隣に翔くんがいた。
「な、なんで、知っているの……?」
「2人が沖から戻ってきた時、なんか様子が変だなって思って。あいつ、志帆のこと前から気になってたみたいだし」
「そ……それって、翔くん以外も知ってるの?」
「加藤が志帆を好きだってこと? いや、知らないんじゃないかな。俺も誰かと、こんな話したことないし」
翔くんって、何でもお見通しなんだね。ホント1人だけ、大人みたい。
「で、話は変わるんだけどさ……白石はなんで来れなかったの? もちろん、誘ったんだよね?」
「う、うん……もちろん。勉強会の時と同じような理由かな。なんか、琴音がこのグループにいるのは、ちょっと違うような気がするんだって。あと、皆の前で水着になるのが恥ずかしいって言ってた」
「このグループにいるのが違うって、どういう意味だよ……白石って、そういう線引するところあるよな。——まあ、無理に誘っても仕方ないんだけどさ」
翔くん、もしかして怒ってる……? 確かに私も琴音のそういう所、変わってくれたらなって思ったことはある。
花火の音は激しさを増し、打ち上がる間隔が狭くなっていく。フィナーレはすぐそこまで来ている。
私は花火の写真を撮って、SNSに上げた。
私と琴音しか見ることが出来ない、鍵付きのアカウントに——
「なんて言って、本当は玲央のことが好きなんじゃないの?」
加藤くんはそう聞いてきたけど、今は憧れでしかないと私は答えた。
「ハハハ。その感じ、男だけど分かる」と言って笑った加藤くん。男子から見ても、玲央くんはやっぱり魅力的に映るようだ。
「よーし、ビーチバレー大会やるか!」
さっきの告白はどこへやら、元気いっぱいで加藤くんが言った。ここにいるのは、合計8人。まずは4人対4人になるよう、チーム分けから始まった。
「じゃ、リーダーは俺と湊な。こいつは中1だけど、バレー部だからそこそこ出来る。まあ、俺より上手いってことはないけど」
「はあ? 誰が野球部なんかに負けるかよ。負けた方は、ネットとボールの後片付けだからな。——じゃ、メンバーの取り合いからな! ジャンケン、ポン! おっしゃああ!!」
最初にジャンケンで買った湊くんは、背の高い玲央くんを選んだ。そして彼らのジャンケンは続き、メンバーが決まった。
◇加藤チーム
・翔
・楓
・凪
◇湊チーム
・玲央
・志帆
・莉奈
「湊くんっ! 絶対に勝つわよ、私たち! 最後のジャンケンで勝ったのに、小6の凪ちゃんを選んだ加藤は許せない!」
「はっ、はいっ! でも安心してください、俺がジャンケンで勝っていても、莉奈さんを選びましたから!!」
た……多分、加藤くんは凪ちゃんが最後に残ると可哀想だから、凪ちゃんを選んだんだと思うよ……まあ、大人げない莉奈ちゃんも嫌いじゃないけど。
いざ試合が始まると、思いがけない展開となった。
加藤くんチームは加藤くんと楓、私たちのチームは湊くんと私が、前後左右と動き回る大活躍をしたからだ。それ以外の4人は、ほぼお荷物状態と化していた。
「おっしゃああっ!!」
スパイクを決めて雄叫びを上げる湊くん。加藤くんと同じく、勝負事には一切の妥協が無いようだ。
「くっそぉぉぉ!! 頼むぞ、凪! ゆっくりでいい! サーブを入れてくれるだけでいいから!!」
そんな加藤くんの願いも虚しく、凪ちゃんのサーブはパサリとネットにひっかかった。試合終了だ。
「アハハ、瑛太兄ちゃんお疲れさまでした。んじゃ、ネットの後片付けよろしくな!」
湊くんはそう言って高らかに笑うと、ドリンクをグビグビと飲み干した。
***
ドーン!! ドドーン!!
花火大会が始まった。
プライベートビーチから、花火を見上げる私たち。
眼の前で大きく広がる花火とお腹にまで響く重低音は、テレビなんかで見る花火大会とはまるで違った。
なんでもネットで体験できちゃう今の時代。だけど、こんな風に実際に体験しないと、感じられないことって沢山あるんだ——
斜め前では莉奈ちゃんが声を上げて笑っている。隣には湊くんと凪ちゃんがいる。きっと2人とも、このカワイイお姉さんに夢中なんだろう。
「もしかしてさ……今日、加藤に告られたりした?」
「えっ!?」
いつの間にか隣に翔くんがいた。
「な、なんで、知っているの……?」
「2人が沖から戻ってきた時、なんか様子が変だなって思って。あいつ、志帆のこと前から気になってたみたいだし」
「そ……それって、翔くん以外も知ってるの?」
「加藤が志帆を好きだってこと? いや、知らないんじゃないかな。俺も誰かと、こんな話したことないし」
翔くんって、何でもお見通しなんだね。ホント1人だけ、大人みたい。
「で、話は変わるんだけどさ……白石はなんで来れなかったの? もちろん、誘ったんだよね?」
「う、うん……もちろん。勉強会の時と同じような理由かな。なんか、琴音がこのグループにいるのは、ちょっと違うような気がするんだって。あと、皆の前で水着になるのが恥ずかしいって言ってた」
「このグループにいるのが違うって、どういう意味だよ……白石って、そういう線引するところあるよな。——まあ、無理に誘っても仕方ないんだけどさ」
翔くん、もしかして怒ってる……? 確かに私も琴音のそういう所、変わってくれたらなって思ったことはある。
花火の音は激しさを増し、打ち上がる間隔が狭くなっていく。フィナーレはすぐそこまで来ている。
私は花火の写真を撮って、SNSに上げた。
私と琴音しか見ることが出来ない、鍵付きのアカウントに——