アバター★ミー 〜#スマホアプリで最高の私を手に入れる!〜
Scroll-18:満天の星空
「ねえねえ、お姉ちゃんたちって、誰が一番モテるの!?」
女子部屋に凪ちゃんが来ている。最初は1階でおじさんと寝る予定だったそうだが、私たちと一緒に寝たいとお願いしたそうだ。
「んー、そりゃ莉奈だろうねえ。私なんて告白されたことないし」
「えっ!? 楓って告白されたことないのっ!?」
「なっ、なによ。志帆はまるで、告白されたことがあるみたいに。——え、何? もしかしてマジであるわけ?」
自分の顔がみるみると、紅潮していくのが分かる。まさか、今日告白されたばかりだなんて、とてもじゃないが言えない。しかも、加藤くんの親戚の凪ちゃんだっている。
「しょっ、小学生の時の話ね! 転校しちゃって、楓たちも全然知らない子!!」
「ふーん……」
そう言った莉奈ちゃんの視線が怖い。私が嘘をついてるって、バレているのだろうか。
「それにしても、坊主の瑛太お兄ちゃんが、こんなイケてる人たちと友だちだったなんてビックリしたよ。——ほら、見てみて。私の友だちに送ったラインの返事。みんなめっちゃ羨ましがってる」
凪ちゃんを真ん中に、私たち5人が囲んだ写真を送ったようだ。友だちの返事は、まるで芸能人と写真を撮ったかのような反応で溢れていた。
「ねえねえ、あとさ。隣の部屋にはこっそり行ったりしないの? 漫画に出てくる修学旅行なんかだと、絶対そういうシーンあるんだけど」
「もう、凪ちゃんは一体、どんな漫画読んでるのよ。っていうか、そんなことしたら、凪ちゃんのお父さん困らせちゃうでしょ? 私たち、良い思いいっぱいさせて貰ったから、おじさんの気持ちにはちゃんと応えないといけないの」
「フフフ、お姉ちゃんたちってイケてるのに、ちゃんとそういうところは大人なんだよね。もう、全部全部、尊敬しちゃう!!」
凪ちゃんはそう言って、満面の笑顔を莉奈ちゃんに向けた。
廊下を隔てた、男子の部屋から大きな笑い声が漏れてきた。彼らは彼らで、何かの話で盛り上がってるのだろう。
「ねえねえ、見てみて!!」
ベランダへの窓を開けた楓が、私たちを呼び寄せた。
「すっごい星……」
済んだ夜空を見上げると、満天の星空が広がっていた。
***
「加藤のおじさん、ありがとうございました!!」
玲央くんのその言葉に続き、私たちも「ありがとうございました!」と頭を下げる。
「いやいや、こちらこそありがとう。湊も凪も、本当に楽しかったみたいで。——ほら、お前たちもお礼を言いなさい」
「こっ、今回は来てくれてありがとう! また来てください!」
湊くんは歯を食いしばるようにして、そう言った。目が少し潤んで見えたのは、気のせいだろうか。
「ほら、凪も」
おじさんがそう言って背中を押すが、彼女は下を向いたまま目に涙を浮かべるだけだった。
「もっ、もう凪ちゃん、そんな顔しないでよ! また絶対、遊びに来るから!!」
そう言って凪ちゃんを抱きしめた莉奈ちゃんも、目に涙を溢れさせた。
ガタンガタンと進む電車の中、みんな無言で揺られている。早朝から泳いだりしこともあり、疲れ切っているのだと思う。
たった一泊の旅行だったのに、海にバレーに花火にと、盛りだくさんの内容だった。
あ、そうそう……加藤くんからの告白もあったっけ……
それにしても、莉奈ちゃんは旅先でも大人気だった。そんな時に、ふと考えてしまうことがある。
もしかして、莉奈ちゃんもアバター★ミーを使ってたりする……?
いや、莉奈ちゃんだけじゃない。テレビに出ている芸能人やモデルさんたちも、もしかしてアバター★ミーを使っているかもしれない。
だって、私だけが使えるアプリがあるだなんて、おかしいじゃない。
そう思って何度か、ネットでアバター★ミーを検索したことがあった。しかし、検索には何もひっかからない。それはそうだろう、誰かに言ってしまうとアプリが消えてしまうからだ。
突然、私の前に現れたアバター★ミー。
ということは、突然消えてしまっても、全く不思議じゃないってことだ——
女子部屋に凪ちゃんが来ている。最初は1階でおじさんと寝る予定だったそうだが、私たちと一緒に寝たいとお願いしたそうだ。
「んー、そりゃ莉奈だろうねえ。私なんて告白されたことないし」
「えっ!? 楓って告白されたことないのっ!?」
「なっ、なによ。志帆はまるで、告白されたことがあるみたいに。——え、何? もしかしてマジであるわけ?」
自分の顔がみるみると、紅潮していくのが分かる。まさか、今日告白されたばかりだなんて、とてもじゃないが言えない。しかも、加藤くんの親戚の凪ちゃんだっている。
「しょっ、小学生の時の話ね! 転校しちゃって、楓たちも全然知らない子!!」
「ふーん……」
そう言った莉奈ちゃんの視線が怖い。私が嘘をついてるって、バレているのだろうか。
「それにしても、坊主の瑛太お兄ちゃんが、こんなイケてる人たちと友だちだったなんてビックリしたよ。——ほら、見てみて。私の友だちに送ったラインの返事。みんなめっちゃ羨ましがってる」
凪ちゃんを真ん中に、私たち5人が囲んだ写真を送ったようだ。友だちの返事は、まるで芸能人と写真を撮ったかのような反応で溢れていた。
「ねえねえ、あとさ。隣の部屋にはこっそり行ったりしないの? 漫画に出てくる修学旅行なんかだと、絶対そういうシーンあるんだけど」
「もう、凪ちゃんは一体、どんな漫画読んでるのよ。っていうか、そんなことしたら、凪ちゃんのお父さん困らせちゃうでしょ? 私たち、良い思いいっぱいさせて貰ったから、おじさんの気持ちにはちゃんと応えないといけないの」
「フフフ、お姉ちゃんたちってイケてるのに、ちゃんとそういうところは大人なんだよね。もう、全部全部、尊敬しちゃう!!」
凪ちゃんはそう言って、満面の笑顔を莉奈ちゃんに向けた。
廊下を隔てた、男子の部屋から大きな笑い声が漏れてきた。彼らは彼らで、何かの話で盛り上がってるのだろう。
「ねえねえ、見てみて!!」
ベランダへの窓を開けた楓が、私たちを呼び寄せた。
「すっごい星……」
済んだ夜空を見上げると、満天の星空が広がっていた。
***
「加藤のおじさん、ありがとうございました!!」
玲央くんのその言葉に続き、私たちも「ありがとうございました!」と頭を下げる。
「いやいや、こちらこそありがとう。湊も凪も、本当に楽しかったみたいで。——ほら、お前たちもお礼を言いなさい」
「こっ、今回は来てくれてありがとう! また来てください!」
湊くんは歯を食いしばるようにして、そう言った。目が少し潤んで見えたのは、気のせいだろうか。
「ほら、凪も」
おじさんがそう言って背中を押すが、彼女は下を向いたまま目に涙を浮かべるだけだった。
「もっ、もう凪ちゃん、そんな顔しないでよ! また絶対、遊びに来るから!!」
そう言って凪ちゃんを抱きしめた莉奈ちゃんも、目に涙を溢れさせた。
ガタンガタンと進む電車の中、みんな無言で揺られている。早朝から泳いだりしこともあり、疲れ切っているのだと思う。
たった一泊の旅行だったのに、海にバレーに花火にと、盛りだくさんの内容だった。
あ、そうそう……加藤くんからの告白もあったっけ……
それにしても、莉奈ちゃんは旅先でも大人気だった。そんな時に、ふと考えてしまうことがある。
もしかして、莉奈ちゃんもアバター★ミーを使ってたりする……?
いや、莉奈ちゃんだけじゃない。テレビに出ている芸能人やモデルさんたちも、もしかしてアバター★ミーを使っているかもしれない。
だって、私だけが使えるアプリがあるだなんて、おかしいじゃない。
そう思って何度か、ネットでアバター★ミーを検索したことがあった。しかし、検索には何もひっかからない。それはそうだろう、誰かに言ってしまうとアプリが消えてしまうからだ。
突然、私の前に現れたアバター★ミー。
ということは、突然消えてしまっても、全く不思議じゃないってことだ——