アバター★ミー 〜#スマホアプリで最高の私を手に入れる!〜
Last Scroll:アンインストール
「翔くん、私はもう全然平気。志帆も先生が大丈夫って言ってたから、安心して。——それより、学校の雰囲気はどんな感じだった? やっぱり、ニュースなんかにもなってる?」
「まあそれは、今は気にしなくていいよ。琴音だってワザとやったんじゃないし、きっとなんとかなる。とにかく、2人とも元気そうで安心した。——じゃ、俺はこれで。相川、本当にありがとうな」
翔くんはそう言うと、静かにドアを閉めて病室を出ていった。
「もしかして琴音、翔くんと……?」
「うん……夏休みの間に、翔くんに付き合って欲しいって告白されたの。最初は、私なんかがって断ったんだけど、『私なんか』ってなんだよって彼に怒られて」
フフフ、翔くんらしい。
そっか、翔くんは琴音のことが好きだったんだ——
「そして翔くんと付き合うようになってから、ダイエットも始めたんだ。別に、彼と釣り合わないからとかじゃないよ? 本当はダイエットに興味はあったんだけど、私ほら……そういうとこ強がっちゃうから」
琴音はそう言うと、照れくさそうに笑った。
そっか……以前、私がダイエットに誘ったときも、あれは琴音の強がりだったんだ。
そこから私たちは、会えなかった時間を取り返すような勢いで話し合った。「大阪はどうだった?」と聞いてくれたことから、私の全ての想い出がゼロになったというわけでは無さそうだ。
「でね、琴音。私がさ——琴音?」
隣のベッドを見ると、琴音はスースーと寝息を立てていた。そう言えば、徹夜で交換日記を書いてくれたと言っていた。だから、遅刻したことのない琴音が、あんなギリギリに学校に来たんだ。
そして1人になった私はとうとう、自分のスマホを手に取った。アバター★ミーがどうなっているのか、確認するためだ。
恐る恐るスマホを開くと、一番最後の場所にアバター★ミーのアイコンはまだあった。一度大きく深呼吸してから、アバター★ミーのアイコンをタップする。
————————————
『アバター★ミー』条件達成のご連絡
おめでとうございます!!
あなたはこの度、
『世界で一番大切な絆を手に入れる』
という条件を達成しました。
下記、アンイストールボタンより、
アプリケーションを削除してください。
なお、条件達成のご褒美として、
一度限りの『願い』を送信出来ます。
よろしければどうぞ。
※どのような願いも叶うものではありません。
〘 願いを伝えてみる 〙
〘 アンインストール 〙
————————————
条件達成って、そういうことだったのか——
その絆っていうのは、アバター★ミーを入れる前の私たちじゃ、手に入れられなかったってこと? それまでも私たちは、親友だって思っていたんだけど。
いや……琴音と話している時にでも、玲央くんたちのことが気になって仕方なかった私に問題があったのかもしれない。
うん、きっとそうだ……ごめんね、琴音……
既に、私の願いごとは決まっている。私は〘 願いを伝えてみる 〙ボタンをタップして、願いを入力した。
————————————
琴音が理科室を火事にしたこと、無かったことにしてください。
————————————
送信ボタンを押すと、アバター★ミーの画面が切り替わった。きっとこれが、最後のアバター★ミーの画面になると思う。
————————————
『アバター★ミー』より
あなたの願いを受諾しました。
次にあなたが目覚めた時、その願いは反映されています。
アバター★ミーのご利用、
誠にありがとうございました。
〘 アンインストール 〙
————————————
〘 アンインストール 〙ボタンを押すと、アバター★ミーのアイコンは跡形もなく消えてしまった。
夢みたいな話だけど、きっと朝起きたら理科室の火事は無かったことになってるんだと思う。
次に目覚める場所は、この病室……?
それとも、私の部屋……?
でもひとつだけ、はっきりと分かることがある。
目覚めてもきっと、私と琴音は親友同士だということ——
< アバター★ミー #スマホアプリで最高の私を手に入れる![完]>
「まあそれは、今は気にしなくていいよ。琴音だってワザとやったんじゃないし、きっとなんとかなる。とにかく、2人とも元気そうで安心した。——じゃ、俺はこれで。相川、本当にありがとうな」
翔くんはそう言うと、静かにドアを閉めて病室を出ていった。
「もしかして琴音、翔くんと……?」
「うん……夏休みの間に、翔くんに付き合って欲しいって告白されたの。最初は、私なんかがって断ったんだけど、『私なんか』ってなんだよって彼に怒られて」
フフフ、翔くんらしい。
そっか、翔くんは琴音のことが好きだったんだ——
「そして翔くんと付き合うようになってから、ダイエットも始めたんだ。別に、彼と釣り合わないからとかじゃないよ? 本当はダイエットに興味はあったんだけど、私ほら……そういうとこ強がっちゃうから」
琴音はそう言うと、照れくさそうに笑った。
そっか……以前、私がダイエットに誘ったときも、あれは琴音の強がりだったんだ。
そこから私たちは、会えなかった時間を取り返すような勢いで話し合った。「大阪はどうだった?」と聞いてくれたことから、私の全ての想い出がゼロになったというわけでは無さそうだ。
「でね、琴音。私がさ——琴音?」
隣のベッドを見ると、琴音はスースーと寝息を立てていた。そう言えば、徹夜で交換日記を書いてくれたと言っていた。だから、遅刻したことのない琴音が、あんなギリギリに学校に来たんだ。
そして1人になった私はとうとう、自分のスマホを手に取った。アバター★ミーがどうなっているのか、確認するためだ。
恐る恐るスマホを開くと、一番最後の場所にアバター★ミーのアイコンはまだあった。一度大きく深呼吸してから、アバター★ミーのアイコンをタップする。
————————————
『アバター★ミー』条件達成のご連絡
おめでとうございます!!
あなたはこの度、
『世界で一番大切な絆を手に入れる』
という条件を達成しました。
下記、アンイストールボタンより、
アプリケーションを削除してください。
なお、条件達成のご褒美として、
一度限りの『願い』を送信出来ます。
よろしければどうぞ。
※どのような願いも叶うものではありません。
〘 願いを伝えてみる 〙
〘 アンインストール 〙
————————————
条件達成って、そういうことだったのか——
その絆っていうのは、アバター★ミーを入れる前の私たちじゃ、手に入れられなかったってこと? それまでも私たちは、親友だって思っていたんだけど。
いや……琴音と話している時にでも、玲央くんたちのことが気になって仕方なかった私に問題があったのかもしれない。
うん、きっとそうだ……ごめんね、琴音……
既に、私の願いごとは決まっている。私は〘 願いを伝えてみる 〙ボタンをタップして、願いを入力した。
————————————
琴音が理科室を火事にしたこと、無かったことにしてください。
————————————
送信ボタンを押すと、アバター★ミーの画面が切り替わった。きっとこれが、最後のアバター★ミーの画面になると思う。
————————————
『アバター★ミー』より
あなたの願いを受諾しました。
次にあなたが目覚めた時、その願いは反映されています。
アバター★ミーのご利用、
誠にありがとうございました。
〘 アンインストール 〙
————————————
〘 アンインストール 〙ボタンを押すと、アバター★ミーのアイコンは跡形もなく消えてしまった。
夢みたいな話だけど、きっと朝起きたら理科室の火事は無かったことになってるんだと思う。
次に目覚める場所は、この病室……?
それとも、私の部屋……?
でもひとつだけ、はっきりと分かることがある。
目覚めてもきっと、私と琴音は親友同士だということ——
< アバター★ミー #スマホアプリで最高の私を手に入れる![完]>

![告白[Confession of love]](https://www.berrys-cafe.jp/img/member/1381114/42usmkxeyb-thumb.jpg)
