アバター★ミー 〜#スマホアプリで最高の私を手に入れる!〜
Scroll-07:これが青春……?
「へー、スゲーな!!」
野球部の加藤くんだ。琴音デザインの応援旗を見上げて、そう言った。
「これ、白石が一人で描いたわけ?」
「いや、私と志帆と、佐伯くんで。ラストスパートは、佐伯くんがめちゃくちゃ頑張ってくれたの」
「ああー……あいつスカしてるように見えて、そういうとこあるからな。——他のクラスの旗も見てきたけど、ウチのがダントツだわ! その分、俺たちはリレーで頑張らないとな!!」
加藤くんは私に向かってそう言ってきた。なんと、ハンドボール以外は全力で手を抜いた体力テストだったが、50メートル走は私が一番だったらしい。流石、【運動神経】95は伊達じゃなかった……
体育祭が始まった。
なぜだろう、去年の体育祭と全く違って見えるのは。
きっと、私たちでも役に立っているものがあったり、佐伯くんを始めとする仲間が増えたからだと思う。
通りすがるクラスメイトたちが、代わる代わる琴音の応援旗を褒めていく。三角座りをしていた琴音は、こぼれる笑みを見られたくないのか、その都度、両膝に顔をうずめた。
***
昼食を終え、午後は応援合戦から始まった。
2年2組の応援旗を、桐島くんが振る。身長の高い彼が旗を振るその姿は、とてもダイナミックだった。
姫川さんも佐伯くんも水野さんも、そして琴音も私も。お腹のそこから声を張り上げる。あまり話をしてこなかったクラスメイトも、両手を口に添えて大声を出している。
ああ……なんか、凄くいい。
きっと、これが青春ってやつ……?
私たちの応援が終わると、周りのクラスからもそれを称える歓声が上がった。
「相川、そろそろ行こうか」
体育祭も終盤。加藤くんと一緒に運動場の真ん中へと向かった。一番盛り上がると言ってもいいイベント、男女混合リレーに出るためだ。リレーがスタートするまでの間、私たちはその場に腰を下ろした。
「先に言っておくぞ。俺じゃないからな。聞いてくれてって頼まれたから、聞くんだぞ」
ん……?
加藤くん、一体何を私に聞いてくるんだろ……?
「誰かは言わないけど、同じ野球部の奴がさ。相川は彼氏いるのか聞いてくれって。——なんか、俺が聞いてるみたいで恥ずかしくなるけど」
そう言った加藤くんの顔は真っ赤になっていた。
「い、いないよ。いるようにも見えないでしょ? いないいない」
「オ、オッケー。そう伝えとく」
これってまさか、誰かが私を好きだってこと……?
***
「ああーーっ!!」
先頭を走っていた2年2組だったが、第6走者の男子が転んでしまった。彼は痛む腕をさすりながら、最下位で私にバトンを渡す。
こ、こうなったら、私が頑張るしかないじゃないっ……!!
見せてみて! 【運動神経】50の本気の走り!!
バトンを受けてすぐ、2人の女子を抜いた。そして3人めを抜こうとした時、保護者席から大声を上げるお母さんが見えた。私は小さく、お母さんに手を振る。
その後もドンドンと抜き去ると、最後は陸上部のエース、吉富さんのみとなった。彼女は大きくなる声援と私に向けられた視線で、すぐ後ろにまで迫っていると気付いたのだろう。何度も何度も、彼女は後ろを振り返る。
そしてとうとう、2年2組の眼の前で、私は吉富さんを抜き去った。大歓声が起きる中、飛び跳ねて喜ぶ琴音が見える。
「あとは頼んだよっ!!」
私は先頭で加藤くんにバトンを渡すと、彼はグングンと加速していった。陸上部にも負けない脚力を持つ彼は、下位を置き去りにしていく。
そして彼はその勢いのまま、大きく両手を広げテープを切った。
***
「では次は、応援旗の結果発表に参ります。——まずは、アイデア賞」
私たち2年2組は静まり返って、次の言葉を待つ。
「3年1組」
あーという声が周りから漏れる。
「おいおい、俺たちは優勝なんだから、こんな所で呼ばれたら困るんだって!」
桐島くんの言葉に、確かにそうだ! と、皆が笑った。
そして、他の小さな賞の発表を終え、残すは優勝だけとなった。
「それでは最後。応援旗の部、優勝は——」
再び静まりかえる2年2組。みんなの顔に、うっすらと笑みが浮かんでいる。きっと、誰もが優勝を確信しているのだ。
「2年1組」
大きなため息とともに、全員が無言になった。こういう時って、何の言葉も出ないんだ——
隣に座っている琴音の目に、みるみると涙が溜まっていく。私が背中から琴音を抱きしめると、彼女はプルプルと肩を震わせた。
「気にすんな、白石。俺の中では、この旗が優勝だ」
そう声をかけてくれた、佐伯くんの目も真っ赤になっていた。
野球部の加藤くんだ。琴音デザインの応援旗を見上げて、そう言った。
「これ、白石が一人で描いたわけ?」
「いや、私と志帆と、佐伯くんで。ラストスパートは、佐伯くんがめちゃくちゃ頑張ってくれたの」
「ああー……あいつスカしてるように見えて、そういうとこあるからな。——他のクラスの旗も見てきたけど、ウチのがダントツだわ! その分、俺たちはリレーで頑張らないとな!!」
加藤くんは私に向かってそう言ってきた。なんと、ハンドボール以外は全力で手を抜いた体力テストだったが、50メートル走は私が一番だったらしい。流石、【運動神経】95は伊達じゃなかった……
体育祭が始まった。
なぜだろう、去年の体育祭と全く違って見えるのは。
きっと、私たちでも役に立っているものがあったり、佐伯くんを始めとする仲間が増えたからだと思う。
通りすがるクラスメイトたちが、代わる代わる琴音の応援旗を褒めていく。三角座りをしていた琴音は、こぼれる笑みを見られたくないのか、その都度、両膝に顔をうずめた。
***
昼食を終え、午後は応援合戦から始まった。
2年2組の応援旗を、桐島くんが振る。身長の高い彼が旗を振るその姿は、とてもダイナミックだった。
姫川さんも佐伯くんも水野さんも、そして琴音も私も。お腹のそこから声を張り上げる。あまり話をしてこなかったクラスメイトも、両手を口に添えて大声を出している。
ああ……なんか、凄くいい。
きっと、これが青春ってやつ……?
私たちの応援が終わると、周りのクラスからもそれを称える歓声が上がった。
「相川、そろそろ行こうか」
体育祭も終盤。加藤くんと一緒に運動場の真ん中へと向かった。一番盛り上がると言ってもいいイベント、男女混合リレーに出るためだ。リレーがスタートするまでの間、私たちはその場に腰を下ろした。
「先に言っておくぞ。俺じゃないからな。聞いてくれてって頼まれたから、聞くんだぞ」
ん……?
加藤くん、一体何を私に聞いてくるんだろ……?
「誰かは言わないけど、同じ野球部の奴がさ。相川は彼氏いるのか聞いてくれって。——なんか、俺が聞いてるみたいで恥ずかしくなるけど」
そう言った加藤くんの顔は真っ赤になっていた。
「い、いないよ。いるようにも見えないでしょ? いないいない」
「オ、オッケー。そう伝えとく」
これってまさか、誰かが私を好きだってこと……?
***
「ああーーっ!!」
先頭を走っていた2年2組だったが、第6走者の男子が転んでしまった。彼は痛む腕をさすりながら、最下位で私にバトンを渡す。
こ、こうなったら、私が頑張るしかないじゃないっ……!!
見せてみて! 【運動神経】50の本気の走り!!
バトンを受けてすぐ、2人の女子を抜いた。そして3人めを抜こうとした時、保護者席から大声を上げるお母さんが見えた。私は小さく、お母さんに手を振る。
その後もドンドンと抜き去ると、最後は陸上部のエース、吉富さんのみとなった。彼女は大きくなる声援と私に向けられた視線で、すぐ後ろにまで迫っていると気付いたのだろう。何度も何度も、彼女は後ろを振り返る。
そしてとうとう、2年2組の眼の前で、私は吉富さんを抜き去った。大歓声が起きる中、飛び跳ねて喜ぶ琴音が見える。
「あとは頼んだよっ!!」
私は先頭で加藤くんにバトンを渡すと、彼はグングンと加速していった。陸上部にも負けない脚力を持つ彼は、下位を置き去りにしていく。
そして彼はその勢いのまま、大きく両手を広げテープを切った。
***
「では次は、応援旗の結果発表に参ります。——まずは、アイデア賞」
私たち2年2組は静まり返って、次の言葉を待つ。
「3年1組」
あーという声が周りから漏れる。
「おいおい、俺たちは優勝なんだから、こんな所で呼ばれたら困るんだって!」
桐島くんの言葉に、確かにそうだ! と、皆が笑った。
そして、他の小さな賞の発表を終え、残すは優勝だけとなった。
「それでは最後。応援旗の部、優勝は——」
再び静まりかえる2年2組。みんなの顔に、うっすらと笑みが浮かんでいる。きっと、誰もが優勝を確信しているのだ。
「2年1組」
大きなため息とともに、全員が無言になった。こういう時って、何の言葉も出ないんだ——
隣に座っている琴音の目に、みるみると涙が溜まっていく。私が背中から琴音を抱きしめると、彼女はプルプルと肩を震わせた。
「気にすんな、白石。俺の中では、この旗が優勝だ」
そう声をかけてくれた、佐伯くんの目も真っ赤になっていた。