永遠の約束を交わそう
頼まれた資材を取りに行こうと、廊下を歩いていると


「これをお願いします」


今にも泣き出しそうな、震えた声が聞こえた。


声の先には白い軍服を着た若い男性と、食堂で働いているおばさんがいた。


「サクラちゃんに必ず送るからね」


「…はい、よろしくお願いします」


おばさんの手には少し厚い茶色の封筒。


「いってらっしゃい」


あぁ、彼は明日…飛ぶんだ。


私と歳が変わらないくらいに見えるのに。


彼や彼の仲間は、国のために命を捧げるのだ。


胸が苦しくなって、自然と涙が頬を伝う。


「美緒さん?どうしたんですか?」


「あ…ううん、なんでもない」


声をかけてきたのは、いつも笑顔で周りを明るくしてくれる佐々木くん。


彼もまた、例に漏れずいつか飛ぶ。


私よりも若いのに…





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