もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
「……帰したくない」

低い声に喉の奥がグッと締め付けられる。

「このまま別れるなんてできない。立場も肩書きも全部関係ない。ただ、ひとりの男として日菜求めたい」

そのストレートな言葉に私も素直になった。

「私も、一緒にいたいです」

勇気を出して答えるとまた彼からキスが落とされた。背中を包み込むその手の力強さに息が詰まりそうになるけど、不思議と安心感も広がっていく。

「日菜、行こう」

そのまま彼に手を引かれ、通り沿いまで来るとタクシーを拾う。行き先は彼のマンションのようで表参道に向かうよう運転手に声をかけていた。何を話せばいいのかわからずお互いに黙りこんでしまうが、車の中でも手は離れることなく絡み合ったまま。その感触に今も現実であることを実感させられている。まさかこんなことになるなんてつい1時間前まで想像もつかなかった。タクシーの中にふたりで座っていることすら想像もつかなったことだ。繋がれた手をまじまじ見つめているとその力が強くなった。私の考えていることなんてお見通しなのかもしれない。ぎゅっと握られ、その手は彼の足元に引き寄せられた。
心臓の音が伝わるのではないかと不安になる程ドキドキが止まらない。
< 44 / 96 >

この作品をシェア

pagetop