もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
15分くらい乗っていただろうか。
タクシーはまるでホテルのようなエントランスの前に到着した。都内にこんなにも緑あふれるマンションが存在するなんて少し考えられなかったが、ライトアップされ幻想的が光景が広がっていた。

「素敵……」

思わず出た声に真紘さんはクスッと笑っていた。

「今日はダメ。また今度ゆっくり案内するよ」

そう言うと私の手を引き、オートロックのキーを解除するとエントランスに入る。そのままエレベーターに向かうと住人の階にしか止まらないようでここでもロックを解除していた。
5階のフロアに到着するとドアは4つのみ。1番右端にある部屋を開けると私を招き入れた。
そしてドアが閉まるか閉まらないかのところで真紘さんはまたスッと抱きしめてきた。

「もう待てない」

カチャっと閉まる音が聞こえた瞬間には口を塞がれ、キスが再開された。
狭い玄関でのキスは思っていた以上に熱く荒々しいのに、それでいて切実だった。背中を支える大きな手の力強さに抗えず身を委ねる。
真紘さんの体温が全身に伝わり足元が震えそうになる。息を切らして唇を離した彼は、名残惜しそうに額を私の額に寄せてきた。

「こんな気持ち、初めてなんだ」

その正直なところ言葉に私の胸は熱く締め付けられる。私もなの、と言いたいけれど声に出てこない。
抱き合ったまま彼は自然とフロアライトだけがつけられたベッドルームに導かれる。
ベッドに腰を下ろすと再び唇を奪われる。先ほどよりも深く、そして甘く。
指先で頬を撫でられるたび、私の心は溶かされていった。
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